令和4年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」 初年次教育科目

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

本分析は、令和4年度秋学期に「学習成果実感調査」が実施された、「複眼的思考で見る多様な世界」1クラス(回答率37.8%←26.20%(昨年))、「日本語表現1」(9クラス中9クラス)(回答率43.1%←38.97%(昨年))、「日本語表現2」(5クラス中5クラス)(回答率26.5%←32.08%(昨年))などを含めた初年次教育科目群全体(22クラス中22クラス)(回答率34.7%←40.7%(昨年))の結果を総合的に分析したものである。一昨年度、昨年度はオンライン環境の中での調査実施ということから回答率は低かったが、今年度は対面環境での授業実施であったにも関わらず、回答率が大きく改善されているというわけではない。期間中回答を呼びかけるだけではなく、授業中での一斉実施など、回答率向上に向けた取り組みが求められよう。以下、初年次教育科目群全体での回答傾向から、今後の授業改善・カリキュラム改善に向けた示唆を求める。当該科目の学習を通じて大学で学ぶ意欲が高まったかを尋ねた設問6については、「強くそう思う」26%←36%(昨年)、「そう思う」50%←51%(昨年)、両者で76%←87%(昨年)とやや漸減傾向が看取できる。大学で学ぶための知識を得たり、スキルを伸ばすことができたかを尋ねた設問7については、「強くそう思う」27%←28%(昨年)、「そう思う」53%←49%(昨年)、両者で 80%←77%(昨年)となり、昨年より微増と微減が交錯している。初年次教育科目の目的という観点からは、概ね良好な結果を得ているともいえようが、設問6についてははっきり減少しているので、改善を見据えた取り組みが必要であろう。コロナ禍で学生の授業への関り度合い(エンゲージメント)が懸念されたが、授業満足度は総じて高い。総合的な科目満足度を尋ねた設問12においては「強くそう思う」35%←45%(昨年)、「そう思う」50%←44%(昨年)となり、合わせて85%←89%(昨年)にも及ぶ。ただ、自分の専門外の学問分野について興味・関心が高まったかを尋ねた設問8においては「強くそう思う」27%←28%(昨年は23%)、「そう思う」51%←49%(昨年は49%)」、両者で78% ←77%(昨年)であり、肯定的評価は微増しているが、さらなる改善が期待されるということになろう。オンラインで実施されたリレー式科目である「複眼的思考で見る多様な世界」については、自由記述において、「大学の中の様々な施設や活動について知ることができたので良かったです。春学期に受けていけばよかったなと思いました。」「京都産業大学の普段いかない所や事業を紹介してくれるので、もっと大学をフル活用しなければならないなと思いました。特に、就活に対する不安が大きいので、就職活動をサポートする取り組みはもっと紹介してほしかったです。」といったといった回答があり、本授業の目的である、大学の諸施設を利用してのStudent Successの達成に貢献をうかがわせるもので、科目の狙いが効を奏したと思われるものや、「オンラインで授業を受けられるため移動時間が不要だけでなくコロナやインフルエンザの感染予防もできるためメリットを感じられました。また、繰り返し視聴できるためわかりにくいところは何度も確認が出来たため授業内容をよく理解することが出来ました。」といったオンライン授業の効果を述べるものもあった。

2. 総括

(1)1において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

大学で学ぶことの意義とその意欲の増進、さらには、大学での学びのためのスキルの修得、多様な視点を学生が獲得することに貢献しており、初年次教育科目としての役割を十分に果たすよう、カリキュラム設計がなされている。

(2)1において確認された改善すべき点

科目の効果や受講者の満足度は、概ね良好ではあるが、専門外への関心喚起や科目構成の在り方の検討など、カリキュラムの全体的なデザインの観点を踏まえて、改善の余地が少なくないと思われる。リレー式講義については、本学の各センター組織からの出講とすることで、科目としての一体感の進捗効果はみられていると判断できるし、学生に有用な知見を提供できていると判断できるが、講義者間の科目の到達目標等についての認識の一致など更なる改善が必要であろう。

3. 次年度に向けての取り組み

春学期開講科目である「自己発見と大学生活」は、教科書やティーチングガイドブックの改良など、教材等のさらなる充実・改善が取り組まれている。コロナ禍による授業オンライン化のため、昨年度は内容の一部変更を余儀なくされたが、本年度は対面授業実施によって、一昨年度のティーチングガイドブック改訂に基づく授業が本格的に実施され、その検証に基づいて次年度プログラムが調整される。
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