所長挨拶

神山宇宙科学研究所は、2010年4月の神山天文台設置以来、京都産業大学が長年にわたり培ってきた天文観測研究および観測装置開発の実績を基盤としながら、宇宙科学と宇宙産業を結びつける新たな研究拠点として、2023年10月に発足しました。神山天文台の時代から大切にしてきた、大学(研究者・学生)と民間企業、学外機関との協働を、研究所という形でさらに発展させています。

本研究所では、天文学を中心とする基礎科学の深化に加え、超小型衛星技術や観測データの利活用、宇宙関連ビジネス創出へのチャレンジなど、社会や産業に結びつく研究・技術開発を積極的に進めています。天文学・宇宙科学は、まだ分かっていないことが圧倒的に多い分野です。だからこそ、未知の領域に挑む面白さがあり、異なる分野の知識や技術が出会うことで、新しい可能性が広がっていきます。

宇宙を研究することは、遠い世界を知ることでもありますが、同時に、私たち自身を俯瞰する視点を与えてくれます。広大な宇宙の中で見れば、人類はまだまだ小さく、未熟な存在かもしれません。しかし、自らの小ささを知ることは、互いを尊重し、今ある世界を大切にすることにつながると、私は考えています。宇宙科学や天文学は、そうした視点を育む重要な役割を担っています。

宇宙開発に関わる分野は現在、国主導から民間主導へと大きな転換期を迎えています。このような時代において大学には、確かな科学的知見を基盤としながら、企業や自治体、研究機関と連携した新たな価値の創出や、将来の研究を担う貴重な人材の育成が求められています。

神山宇宙科学研究所は、天文宇宙・惑星科学の学術研究という枠にとどまらず、国内外の研究機関や民間企業との協働を通じて、宇宙科学の成果を社会へと還元するとともに、「宇宙って面白い」と実感できる教育・研究の場を実現していきたいと考えています。研究者や学生がわくわくしながら未知の分野に挑戦し、その成果が次の時代につながっていく——そのような研究所を、「神山から宇宙(そら)へ」のスローガンの下、京都・神山の地から築いてまいります。

今後とも、神山宇宙科学研究所の取り組みにご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2026年4月
京都産業大学 神山宇宙科学研究所 所長 渡部潤一


河北秀世 初代所長(理学部 教授)がKYOTO産大ニュース(2023年11月22日)に出演し、神山宇宙科学研究所について思いを語っています。