2022(令和4)年度 過去の研究会詳細

2022年(令和4)年度 第6回研究会

日時 2022(令和4)年11月30日(水)
15:00~17:00
場所 第2研究室棟会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

島 憲男「構文と「知覚者」:宮沢賢治のドイツ語訳テキストからの用例を中心に」

本発表はドイツ語の構文をいくつか取り上げ、当該構文間の共通性・関連性を横断的に捉えることを目的とする。具体的には、前回の研究発表以降に発表者が考察してきたことを中心に構文間の関係・関連性について考えてみたい。前回の研究発表では、独訳された宮沢賢治の複数の作品から収集した例文を用いて、発表者によるこれまでの構文研究の成果を検証するとともに、新たな展開の可能性も提示したが、今回はそこでの知見に基づき、それぞれの構文をどのように関連づけ、構文間に観察される「共通・共有項目」をどのように位置付けすることができるのかを提示したいと考えている。

2022年(令和4)年度 第5回研究会

日時 2022(令和4)年10月19日(水)
15:00~17:00
場所 第2研究室棟会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

加野 まきみ「既存語と借⽤語の使い分け̶コーパスで探ることばの変化(2)ー」

昨年の発表に引き続き、様々なコーパスを使って、英語に借用された語が英語の中でどのような変化を経て英語の語録として定着していくのか観察した結果をお話しします。今回は、日本語から英語に入った借用語と既存語彙との競合・共存・棲み分けの様子に注目したいと思います。

2022年(令和4)年度 第4回研究会

日時 2022(令和4)年9月28日(水)
15:00~17:00
場所 第2研究室棟会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

北上 光志「19世紀後半から20世紀末までのロシアと日本の文学作品における発話表現の比較」

前回(2021年10月20日)の研究発表では、19世紀から20世紀に書かれたロシアの文学作品における動詞と分詞のアスペクトに関するテクスト言語学的特徴を直接話法構文との位置的関係から通時的に明らかにした。このことに関して、今回はロシアと日本の文学作品における発話表現(「登場人物の発話文」と「地の文」の組み合わせパターン)を比較し、両言語の違いとその原因を考察する。従来の研究では、こういった点がまだ明確にされていない。

2022年(令和4)年度 第3回研究会

日時 2022(令和4)年7月27日(水)
15:00~17:00
場所 第2研究室棟会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

吉田 和彦「アナトリア祖語とモーラ」

話し手のいない文献言語から、プロソディーについての情報を引き出すことは決して容易でない。プロソディーについての情報が文字によって書き残されていることはまれであるからである。しかしながら、文献言語の場合においても、プロソディーについての情報を導き出すことは決して不可能ではない。本発表では、ヒッタイト語、楔形文字ルウィ語、象形文字ルウィ語、リュキア語などの共通基語であるアナトリア祖語において、アクセントを担う基本的は単位が音節ではなく、モーラであったことを歴史比較言語学的な観点から示したい。

2022年(令和4)年度 第2回研究会

日時 2022(令和4)年6月29日(水)
15:00~17:00
場所 第3研究室棟3階会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

森 博達「上代の漢文 ̶ 正格と変格̶」

「上代」は飛鳥時代から奈良時代までを指す。文章は漢字のみで綴られていた。
漢字文化が日本で受容されると、漢語・漢文の和化も始まる。当時の漢字文は和化の有無・濃淡などによって、正格漢文・変格漢文・漢化和文・和文に四分できる。変格漢文には、朝鮮変格漢文や仏教漢文の要素も混在する。
今回はまず、前史として古墳時代の埼玉稲荷山鉄剣銘から始め、飛鳥時代の「三経義疏」、奈良時代前半の『古事記』『日本書紀』および「風土記」を取り上げて概説し、多様な文章の性格を評定する。
つぎに、奈良時代後半の『懐風藻』(751 年序)・『藤氏家伝』(760 年頃)・『唐大和上東征伝』(779 年)を取り上げて、やや詳しく文章を検討し、倭習や仏教漢文を摘出する。
『藤氏家伝』の上巻「鎌足伝」(仲麻呂撰)は『日本書紀』を参照しており、決定的な誤用(倭習)まで襲っている。また下巻「武智麻呂伝」(延慶撰)ともども仏教漢文が混在する。「東征伝」(元開=淡海三船撰)は基本的に平易な正格漢文で綴られているが、倭習や仏教漢文も混じる。『藤氏家伝』と『東征伝』は今回が初探であるが、当時の漢文作成の水準や性格が窺えて興味深い。

2022年(令和4)年度 第1回研究会

日時 2022(令和4)年5月25日(水)
15:00~17:00
場所 第3研究室棟3階会議室およびオンライン

発表者及びテーマ

梶 茂樹「⽬的語関係節とwhen従属節が同じであることについて-ニョロ語からの考察-」

ウガンダ西部に話されるバンツー系のニョロ語について、目的語関係節と when 従属節とが同じであることを示す。正確には、when従属節とは目的語関係節の一部であるということである。ニョロ語ではテンス・アスペクト・ムードによる1 つの活用において、基本形(主節)、主語関係節、目的語関係節、when 従属節、if 従属節の5つの動詞形を区別しなければならない。例えば英語では、基本形he reads a book、主語関係節a person who reads a book、目的語関係節a book which he reads などのように 5つの動詞形は同じになるが、ニョロ語では原則異なる。そしてその違いは主として声調によって示される。しかしニョロ語で確認されたすべての活用において、目的語関係節と when 従属節の動詞形は同じ形を取るのである。日本語でも「彼が読むもの」と「彼が読むとき」はどちらも連体修飾である。

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