研究テーマ
動物集団の遺伝的多様性の評価と保全
高校生に向けた研究内容の紹介
国内では盲導犬として主にラブラドールレトリーバーが用いられますが、同じ品種の中にも盲導犬としての適性が高い個体やあまり盲導犬には適さない個体がいます。このような適性の個体差は遺伝的な要因よるところが大きいと考えられています。私は動物の品種改良の技術を利用して、盲導犬としての適性が高い犬を効率的に生産できる系統を作り出すことで、国内で続く慢性的な盲導犬不足の解消に貢献することを目指して研究を進めています。
ゼミナール/研究室のテーマ
盲導犬を効率よく生産する ラブラドールレトリーバーの系統の作出
現在、日本では約1,000頭の盲導犬が活躍していますが、盲 導犬の利用を希望する人は3,000人を超えると推定されて おり、盲導犬が不足しています。そこで、遺伝学の技術を応 用して、効率的に盲導犬を生産するラブラドールレトリー バーの系統を作出するための研究を進めています。
ゼミ/卒業研究の紹介
外来種のツヤハダゴマダラカミキリは、侵入地の街路樹などに深刻な被害を与えています。国内には見た目がよく似た在来種のゴマダラカミキリが生息していますが、両種の成虫は慣れれば識別することができます。しかし成虫の発生時期(6月から8月)以外に、ツヤハダゴマダラカミキリの侵入を早期に発見することは困難です。私たちは、幼虫が木の幹に出すフラス(幼虫の唾液や糞が混じったおが屑)から、DNAを抽出してツヤハダゴマダラカミキリの侵入を早期に発見する方法の開発を進めています。
プロフィール
滋賀県の湖東地方で生まれました。現在は開発が進みましたが、当時は家の近くに小川や雑木林のある自然が豊かなところでした。そのような環境の中で魚釣りや昆虫採集を楽しみながら育ちました。また、本などを参考にしながら採集した昆虫の飼育もしていました。いまでも自宅で何種類かの昆虫を飼育しています。エサの準備などが大変ですが、昆虫と触れ合うことが研究のテーマを見つけることに役立っています。昆虫の飼育は生涯の趣味としたいと考えています。
高校生へのメッセージ
生物学では、生物を2つの視点から研究します。1つは、組織、細胞、細胞内の小器官、さらにそれを構成する物質というように生物をミクロの視点で見るとらえ方です。もう1つは、生物を集団(同じ種や異なる種の個体の集まり)としてとらえるマクロの視点です。私は後者の視点から研究を行ってきました。細かなことには目をつむって物事を大局的にとらえることは、実社会に出てもいろいろな場面で役立つはずです。