白鳥 秀卓

SHIRATORI HIDETAKA
生命科学部 先端生命科学科 教授
学位
博士(医学)
専門分野
発生生物学

研究テーマ

内臓器官が左右非対称にできるしくみ、哺乳動物の胚発生と老化機構

高校生に向けた研究内容の紹介

我々ヒトや動物の内臓器官は左右非対称です。胚発生において内臓器官も初めは左右対称にできますが、その後に左右非対称に形が変化して完成します。このような内臓器官が左右非対称にできるしくみを、KOマウスやトランスジェニックマウスを用いて解析します。
また、アミノ酸代謝異常のマウスを用いて、脳神経系、内臓器官、皮膚・毛包など老化に似た症状が若いときから見られる早老症様の異常や、発生異常について解析します。

発生生物学の研究-生物の体がつくられるメカニズムの解明に挑む

「発生生物学」は、多細胞生物が生まれてくるまでの過程を扱う学問です。私はその中でも、哺乳動物の受精卵が胎児へと成長していく段階で起こる、ダイナミックな形の変化に注目しています。
受精直後の「胚」と呼ばれる段階では、体の器官は左右対称になっています。しかし、時間の経過とともに、左右非対称に変化していきます。進化の視点から見ても、進化した生物ほど左右非対称性が複雑になっているのが特徴です。では、なぜこうした変化が起きるのか、どのようにして変わっていくのか、そのメカニズムの解明に取り組んでいるところです。
研究室では、マウスの細胞などを採取して、顕微鏡による細胞増殖の観察をもとに解析を進めています。器官がどうやって形成されるのか調査分析を行った結果、血管が左右非対称な器官を作る上で、何らかの重要な役割を果たしていることが明らかになりました。こうした研究成果は、器官が逆転して生まれてくる遺伝的な疾患の医学的アプローチや、広い意味で再生医療にも貢献できると考えています。卒業生の中には不妊治療の胚培養士の道に進んだ人も少なくありません。
生まれてくるまでに動物の体に起こる変化は見事で、美しくさえあります。その神秘的な成り立ちを一緒に探究しましょう。

ゼミナール/研究室のテーマ

内臓器官が左右非対称にできるしくみ

我々ヒトや動物の内臓器官は左右非対称です。胚発生にお いて内臓器官も初めは左右対称にできますが、その後に左 右非対称に形が変化して完成します。このような内臓器官 が左右非対称にできるしくみを、ノックアウトマウスやトラ ンスジェニックマウスを用いて解析します。

ゼミ/卒業研究の紹介

特別研究では、「左右非対称性」「発生生物学」「ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを使った器官・組織の形作り」「老化」などから学生1人ずつ興味を持ったテーマを決めて、研究に取り組みます。研究をスタートするときは教員がほぼすべての実験内容を提案しますが、徐々に学生自ら実験内容を考えて、計画を立てて研究に取り組むようになります。その成果を、毎月研究室のみんなに報告して意見を交わします。実験結果を基にして、次の実験内容を考えて相談して決めて、実行して分析した、貴重な経験を、卒業後の社会で活かしてほしいと思います。

プロフィール

東京農工大学農学部卒業後、就職か進学かで迷った末、大阪大学医学系研究科に進学。濱田博司教授(現NCBS)の研究室で、発生生物学の研究(内臓器官が左右非対称にできるしくみ)を行い、PhDを取得しました。
内臓器官が左右非対称にできるしくみを明らかにするために、主にKOマウスやトランスジェニックマウスを作製・解析する手法を用いて、大学院修了後も同研究室で研究を続けてきましたが、2016年4月に本学に着任しました。

高校生へのメッセージ

大学で「生物」について勉強したいと考えている皆さん。ぜひ一度、京都産業大学に来てください。大学の雰囲気を感じて、生命科学部の説明を聞いてください。生命科学部では、動物、植物、微生物、培養細胞などいろいろな種類の生物について広く学びます。さらに、これらの生物の中から、皆さんの興味があるものについて、深く学びます。ぜひ一緒に、生命科学を楽しみましょう。
そして、「発生生物学」、「KOマウスやトランスジェニックマウスを使った器官・組織・細胞の形作り」「マウスにおける老化現象」に興味が湧いたら、一緒に研究しましょう。