林 到炫

IM DOHYUN
生命科学部 先端生命科学科 准教授
学位
博士(農学)(東京大学)
専門分野

分子生物学、構造生物学、医化学、創薬科学

研究テーマ

シナプス分子機構の構造生命科学:脳内情報伝達を原子レベルで理解する

高校生に向けた研究内容の紹介

「脳の中で起きている“会話”を、分子の形から読み解く」
私たちの脳では、毎秒膨大な数の情報が神経細胞同士でやり取りされています。そのときに使われる“言葉”のようなものが、ドパミン、セロトニンなどの神経伝達物質です。しかし、これらが「どのように受け取られ」「どのように回収され」「なぜ薬が効くのか」は、実はまだ完全には分かっていません。私の研究では、これらの働きを担うタンパク質の形を、原子レベルで明らかにすることで、脳内情報伝達の仕組みを目に見える形で理解しようとしています。「形」を知ることで、「なぜそう働くのか」が分かります。これが構造生命科学の面白さです。

ゼミ/卒業研究の紹介

私たちの研究室では、神経細胞の表面に存在し、情報の受け渡しを担う膜タンパク質に注目した研究を行います。クライオ電子顕微鏡を用いて、これらの分子の形を原子レベルで明らかにすることで、脳内情報伝達の仕組みや薬が作用する理由を分子レベルから理解します。本研究で得られる知見は、脳疾患の理解にとどまらず、将来的な新薬開発や次世代の創薬研究にもつながる基盤となることが期待されます。

プロフィール

韓国・大邱(テグ)出身。大邱は京都と同じく盆地の地形を持ち、夏は暑く、冬は寒い気候です。大学卒業後に渡日し、東京で大学院教育を受け、博士号を取得しました。その後、博士研究員として京都に移り、膜タンパク質の構造生命科学の研究を本格的に開始しました。一時期は製薬企業で研究員として徳島に赴任し、実際の新薬開発に携わる中で、「基礎研究と医療をつなぐ研究」の重要性を強く意識するようになりました。現在は再び学術の場に戻り、京都を拠点に研究と教育に取り組んでいます。

高校生へのメッセージ

「好き」という気持ちは、研究の一番の原動力です。理科や生物が得意でなくても構いません。「なぜ?」「もっと知りたい」と思う気持ちがあれば、研究の世界はとても面白い場所です。大学では、答えの決まっていない問いに挑戦できます。もし私たちの脳や生命、医療や薬に少しでも興味があれば、ぜひ一歩踏み出してみてください。京都で、一緒に“見えない世界を見えるようにする研究”をしましょう。

ゼミナール/研究室のテーマ

「構造から読み解く脳機能と創薬科学」
本研究室では、神経伝達に関わる膜タンパク質を対象に、構造生物学・神経科学・薬理学を融合した研究を行います。クライオ電子顕微鏡による構造解析や分子シミュレーションなどを通して、脳内情報伝達の分子基盤や薬物作用の仕組みを明らかにすることを目指しています。