2026.10.06

経済学部 イケダゼミが兵庫県朝来市黒川地区で合同フィールドワークを実施しました

2026年9月19日(土)経済学部のイケダマリアゼミと京都橘大学のランビーノゼミ(合同演習)は、兵庫県朝来市生野町の黒川地区を訪問し、人口減少下における持続可能な地域づくりとコミュニティ維持のあり方について現地調査を行いました。

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黒川地区の豊かな自然と田園風景を背景に、両大学の合同ゼミ生と黒川地域振興協議会の方での記念撮影

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京都市内から片道約4時間をかけて到着した黒川地区は、都市部からのアクセスに制約がある典型的な過疎・中山間地域です。しかし同地区では、人口減少や高齢化が進む中でも「農業」と「自然環境」を地域の核(コア)に据え、住民主体で持続可能な集落維持に取り組んでいます。学生たちは黒川地域振興協議会の案内のもと集落や田んぼを散策し、食料生産にとどまらない景観保全や生態系維持といった農業の多様な役割を観察しました。

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黒川地域振興協議会の方から、農業が持つ景観保全や生態系維持といった環境や地域を守る働きについて説明を受ける学生と教員

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特に、朝来市自然環境保全センター「たんよう あさごオオサンショウウオLABO」では、特別天然記念物のオオサンショウウオを絶滅から守る先端的な取組を視察しました。同施設は朝来市が設置し、但陽信用金庫がネーミングライツを取得するなど、行政・民間・大学・地域住民が一体となった「産官学民の協働」の仕組みを学びました。館内では、日本固有種を守り外来交雑種と識別するためのDNA鑑定やマイクロチップ埋め込みによる生態調査が推進されています。また、住民が農業を継続し田んぼや水路を適切に手入れすることが、オオサンショウウオの生存環境を支えている点に触れ、農業と環境保全の深い結びつきを実感しました。
昼食では地域で生産された食材を味わい、その後は地域インフラと観光の拠点である「黒川ダム」および「黒川温泉」を見学しました。黒川ダムは、高さ98mの壮大なロックフィルダムであり、山中深くに6基の発電機を備える日本最大の揚水式発電所(奥多々良木発電所)の上部池です。夜間の余剰電力を利用して下部から水を汲み上げ、昼間の需要ピーク時に放流・発電するエネルギー平準化の仕組みを学習。湖面ではプラスチックゴミが見られず、きれいな水面と美しい自然環境を確認しました。

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「たんよう あさごオオサンショウウオLABO」にて、農業とオオサンショウウオの生態的共生関係について説明を受ける参加者

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なかでも、訪問前から楽しみにしていた参加者も多かった「黒川温泉」では、地域資源を活用した観光振興について考える貴重な機会となりました。黒川温泉「美人の湯」は、アルカリ性単純温泉の優れた泉質で知られ、肌がつるつるになる心地よい湯触りが特徴です。内湯と露天風呂がそれぞれ一つずつの施設であるが、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと過ごすことができ、参加者からも好評でした。黒川ダムの麓に位置し、自然豊かな景観や別荘地とも連動するこの温泉は、単なる観光誘客にとどまらず、農地活用プロジェクト等を通じて黒川を「第二の故郷」と感じてもらう「関係人口(黒川ファン)」創出の重要なアセットであることを学びました。

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生活インフラの面では、路線バス廃止後に高齢住民の通院や買い物を支えるデマンド型交通「あさGO」の活用実態を考察したほか、黒川区(認可地縁団体)による『福祉マップ』作成など、行政支援と補完し合う住民自身の「互助・共助」の取り組みについて理解を深めました。

参加学生の声

  • 食料生産にとどまらない農業の役割と地域資源の重要性を体感し、都市部を離れて豊かな自然環境に身を置き田んぼや農作物の生産現場を直接見ることで、農業が地域生活を支えている実態を実感しました。また、黒川温泉やオオサンショウウオといった固有の地域資源の魅力に触れると同時に、人口減少や高齢化という直面する課題も目の当たりにしました。現地を実際に訪れたからこそ、魅力と課題の両面から具体的に理解を深めることができました。
  • 地域外人材(関係人口)の役割と現地体験の学び、黒川地区を訪れ、人口減少や高齢化といった課題だけでなく、豊かな自然や地域を支える人々の思いに触れることができました。特に、地域外の若者の関わりが地域の未来を支えていることが印象に残りました。現地での体験を通して、地域の魅力を知ることの大切さと、自分自身のこれからの地域との関わり方について見つめ直す大きなきっかけとなりました。

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質疑応答を通じて協議会の方々から寄せられた「若者が繰り返し訪れ、黒川ファンとなって関わり続けてくれることが集落維持の活力になる」という言葉を受け、学生たちは「地域の持続可能性とは、住民同士の助け合い(互助)に加え、地域に関わる多様な人々との協働や関係人口の形成によって支えられる」という重要な学びを得ました。現地での気づきは、今後のゼミ研究や社会課題解決に向けた探求へと活かされます。