2026.10.13

”捨てた服はどこへ行く?”ベトナムで見たファッション産業の現実

学部の授業以外にも活躍の場を求めて積極的に取り組む学生を紹介する本企画。

今回は、「ベトナムにおけるファッション産業の環境負荷と古着循環の実態調査」をテーマにベトナム・ハノイを訪問し研究を続けている、国際関係学部3年次の山﨑 鳴さんにお話を聞きました。

1.「国際関係」に興味を持ったきっかけを教えてください。

私が国際関係学に興味を持った理由は、政治や経済、環境、社会問題など、幅広い分野からグローバルな視点で世界を見ることができるからです。一つの問題をさまざまな視点から考え、国や地域、人々のつながりを踏まえて理解できることに魅力を感じています。
特に環境問題に関心を持ったことをきっかけに、ファストファッションの環境負荷や持続可能性について考えるようになりました。その中で、一つの環境問題を考えるだけでも、企業や消費者、経済、国際社会など、さまざまな要素が複雑に関係していることに気づきました。一つのテーマから多様な分野へと視点を広げ、世界で起こる問題を多角的に捉えられる国際関係学の奥深さに魅力を感じ、より深く学びたいと思うようになりました。

環境保護団体Keep Vietnam Cleanが運営しているリサイクルショップGreen Gem Shop
KVCのコミュニケーションオフィサーTuyet Anh Nguyen氏へのインタビュー

2.今、注力している取り組みは何ですか?  

私が現在取り組んでいるのは、ファッション産業が抱える環境問題と、衣類を循環させていくための仕組みについての研究です。今回の「行ってみ!チャレンジ」では、その研究をさらに深めるため、ベトナム・ハノイを訪れ、古着の回収・販売やアップサイクルに取り組む団体・店舗、衣類が流通する市場などを訪問しました。また、現地の大学生を対象としたアンケート調査も行い、さまざまな角度からベトナムにおける衣類の循環や環境問題について調査しました。
具体的には、Green Gem Shopでは古着の回収から販売までの流れについてお話を伺い、Handmade Beeではデニムのアップサイクルについて学びました。Urban Circular Spaceでは約1週間ボランティアとして衣類の仕分けや補修を行い、実際に古着が循環していく現場を経験しました。また、ドンタック市場では、世界各地から流れ着いた衣類であふれる市場の様子を実際に目にしました。大量の衣類が並ぶ光景を目の当たりにし、日本で資料を読むだけでは感じることのできなかった、ファッション産業の大量生産・大量消費の実態を現地で実感することができました。

ボランティアをさせて頂いた古着屋ショップUrben circular spaceのHaさん
倉庫には大量の衣服
補正作業の様子

3.その取り組みに参加(応募)したきっかけ・動機を教えてください。

きっかけは、大学2年生のときに「行ってみ!チャレンジ」という制度の存在を知ったことです。その後、発表会を通して、実際にこの制度を利用して海外渡航やさまざまな活動に挑戦している学生がいることを知り、私もいつか挑戦してみたいと思うようになりました。ただ、その時点では行きたい国や、海外で何を研究したいのかがまだ明確に決まっていなかったため、すぐに挑戦することはできませんでした。その後、ゼミで持続可能性やグローバル・ガバナンスについて学ぶ中で、環境問題に関心を持つようになりました。特に、京都市の循環フェスなどのフィールドワークを通して、衣類の大量生産・大量消費・大量廃棄の問題に興味を持ち、ファッション産業の環境負荷と古着の循環を研究テーマにしてみようと決めました。渡航先については、井口先生から、世界有数の衣類生産国であるバングラデシュやベトナムについてアドバイスをいただきました。その中でも、今回が初めての一人での海外滞在だったため、安全面や現地での活動のしやすさなども考え、最終的にベトナムを選びました。「いつか海外で研究してみたい」という漠然とした思いから始まりましたが、大学での学びやフィールドワークを通して自分の研究テーマを見つけ、それを実際に海外の現場で確かめてみたいと思ったことが、今回挑戦した一番の理由です。

Handmade Beeへの訪問・創立者のDao Kim Chiさんへのインタビュー
小学生を対象としたデニムアップサイクルのワークショップ
完成したデニムフラワー

4.参加して、ご自身にとってプラス(成長)につながったこと、気づきは?

一番成長したと感じるのは、自分から行動して、人とのつながりを次の学びにつなげる力です。
今回の現地調査では、最初からすべての訪問先が決まっていたわけではありませんでした。最初に訪問したGreen Gem Shopでお話を伺ったことをきっかけに、そこからHandmade BeeやUrban Circular Spaceなど、次の訪問先を紹介していただきました。また、今回が初めての一人での海外滞在だったため、言葉や文化、生活習慣の違いなど、さまざまな場面でカルチャーショックを受けました。日本では当たり前だと思っていたことが、現地では当たり前ではなかったり、同じ環境問題でも、日本とベトナムでは置かれている状況や考え方が違ったりすることを実際に感じました。こうした経験を通して、自分の中の「当たり前」を基準に考えるのではなく、その国や地域の背景を理解し、それぞれの立場から物事を見ることの大切さに気づきました。特に、現地の人と直接関わったことで、インターネットや文献から得られる情報だけでは分からない「現地のリアル」を知ることができました。
さらに、今回の活動では、インタビューをするだけでなく、ワークショップへの参加や古着店でのボランティアなど、自分自身が現場の一員として活動する機会もありました。その経験を通して、研究では数字や制度だけを見るのではなく、実際にそこで生活し、活動している人の視点から問題を見ることが大切だと学びました。

デニムワークショップ
ワークショップで仲良くなったハノイ大学の学生

5.国際問題を考えるうえで、普段から心がけていることはなんですか?

国際問題について考えるとき、ニュースや授業で知った情報だけで終わらせず、自分で調べたり、実際に見たりすることを大切にしています。国際問題は、数字やニュースだけでは分からない現地の状況や、人々の生活が背景にあると思うからです。少しでも気になったことがあれば、そのままにせず、「なぜそうなっているのか」「実際にはどうなのか」と自分なりに調べるようにしています。今回のベトナムでの調査でも、実際に現地へ行ったことで初めて気づけたことが多くあり、知った情報を自分の中だけで終わらせず、行動につなげることを心がけています。

大量の古着が天井まで積みあがっているドンタック市場
路地に立ち並ぶ古着
路地に立ち並ぶ古着

6.今の活動をとおして、今後の抱負、また将来に繋がること・繋げたいことは?

今回の活動を通して、国際問題を考える際には、世界で起きている出来事を知るだけではなく、実際に現地へ足を運び、そこで暮らす人や活動する人の視点から考えることが重要だと学びました。
今後は、今回のベトナムでの経験をゼミでの研究や卒業論文につなげ、ファッション産業の環境問題について、さらに深く分析していきたいです。今回の「行ってみ!チャレンジ」で終わらせるのではなく、これからも自分の興味を持った社会課題に対して、自ら現地へ足を運び、人と関わりながら学び、考え、行動する姿勢を大切にしていきたいです。

古着を色彩別に並べる作業
Haさんのおすすめ市場のジャスミンタピオカジュース

7.国際関係を学ぶ学生(興味を持っている高校生)のみなさんへ一言

私自身、入学した当初は、国際関係の中で何を専門的に学びたいのか決まっていませんでした。しかし、2回生からコース科目を通してさまざまな分野を学ぶ中で、環境問題や持続可能性に興味を持ち、自分が深く学びたいテーマを見つけることができました。そして、その興味がゼミでの研究や、今回のベトナムへの海外渡航にもつながりました。
国際関係学は、幅広い分野に触れながら、自分の「もっと知りたい」を見つけ、そこから専門性を深めていける学部だと思います。すでに国際問題や海外での活動に興味がある人にとっては、興味を学びや実際の挑戦につなげられる、とても良い環境だと思います。

週末旧市街の夜市