文化学部の梶原 洋一 准教授も分担執筆した阿部俊大・私市正年編『交錯する地中海世界―中世における西欧とイスラームの接触』が昭和堂から刊行されました。本書は、中世後期のイベリア半島や北アフリカを舞台に、政治・宗教・経済・社会などさまざまな側面からキリスト教ヨーロッパとイスラーム世界の交流を捉え直すことで、戦争や征服の歴史だけでは語り尽くせない異文化接触の実像に迫るものです。
この中で、梶原准教授は「托鉢修道会にとっての対ムスリム宣教―ドミニコ会を中心に」と題する一章を執筆しました。本稿は、中世ヨーロッパのカトリック修道会であるドミニコ会を中心に、修道士たちがどのようにイスラーム世界への宣教に取り組んだのかを考察しています。とりわけ、15世紀の著名な説教師ビセンテ・フェレールの活動に注目し、ムスリムへの改宗勧誘がどのように行われたのか、その実態と限界を歴史資料に基づいて明らかにしています。また、実際の成果は限られていたにもかかわらず、こうした宣教活動の記憶が後世の修道会の歴史認識やアイデンティティ形成に重要な役割を果たしたことを論じています。
本書は、中世の地中海世界における異文化接触を最新の研究成果に基づいて描き出した研究書であると同時に、宗教や文化の違いを越えた交流の歴史を考える上で多くの示唆を与える内容となっています。
今回の刊行は、本学教員による専門的な歴史学研究の成果が学術書として広く社会に発信されたことを示すものです。本学では、人文学をはじめとする各分野の研究活動を積極的に推進するとともに、その成果を出版や学会発表などを通じて国内外へ発信しています。今後も本学は、学術研究の発展と知的交流の促進に貢献してまいります。
<書籍情報>
『交錯する地中海世界―中世における西欧とイスラームの接触』
編者:阿部俊大・私市正年
出版社:昭和堂
書籍紹介:書籍紹介ページ(株式会社昭和堂)
