国際関係学部の「国際ビジネス実践Ⅰ」「国際経営論Ⅰ」(担当:植原 行洋 教授)では、「大塚製薬のアフリカ展開を提案せよ」をテーマに、学生によるレポート発表が行われました。今回は特別講師として大塚製薬常務執行役員の御厨 太郎 (みくりや たろう)氏を迎え、学生の発表に対する講評と講演が行われました。学生たちはナイジェリア市場について多角的な視点から調査・分析を行い、それぞれ独自の視点に基づいた提案を発表しました。また、講演では企業の海外展開や新規事業開発に関する実践的な話が紹介され、学生たちは企業活動の現場で求められる考え方や視点について理解を深めました。
(学生ライター 法学部1年次 藤井 えみ)
授業前半では、学生たちが作成したレポートの中から、特に優秀なチームによる発表が行われました。どのチームも、進出先として設定されたナイジェリアについて多角的な視点から調査し、現地の実情を踏まえた分析を行っていました。発表内容は次のとおりです。
コーチへのアプローチで粉末状のポカリを普及!
1つ目のチームは、スポーツチームに所属する若者を主なターゲットとし、チームの体調管理を担う監督やコーチへ粉末タイプのポカリスエットを提案するという案を発表しました。また、導入促進策としてプロサッカーチームへの商品提供によるプロモーションも提案しました。講評では、スポーツクラブを1つ1つ説明に回る必要性や、プロチームを使ったプロモーションを実施しても、そこからアマチュアのジュニアチームによる購買に繋げるのはアジアでも非常に難しい事が指摘されました。一方で、監督やコーチに着目した視点については効果的な提案であると評価されました。
フィットネスジムとの提携で健康づくりを推進!
2つ目のチームは、オフィスワーカーが多い地域でフィットネスジムと提携し、ポカリスエットを提供する案を発表しました。この提案の背景には、大塚製薬の「世界の人々の健康に貢献する」という理念と、現地で高まりつつあるフィットネス需要があります。
講評では、ジム会員の方々の目的が、筋肉トレーニングなのか、汗をかく運動目的なのか、ニーズを把握する事が課題として挙げられました。その一方で、企業の福利厚生として導入するという発想は優れた着眼点であると評価されました。
ゼリー状ポカリの現地生産と医療機関への展開!
3つ目のチームは、ゼリー状のポカリスエットを現地で生産・販売する案を提案しました。また、現地の医師に商品を推奨してもらうことで商品の信頼を勝ち得て販促する方策も示しました。また、体調の悪い子供への支出を親は厭わないはずだという考えから、通常の飲料よりも高めの価格設定も可能としました。
講評では、医療機関へのアプローチは実際に大塚製薬でも行われており、差別化もできる提案であると評価されました。一方で、商品の形態については、コスト面やマラリアによる脱水で失う体液量を補完する事を考慮するとゼリーでは足りない為、液体ペットボトルの方が適しているのではないかという助言もありました。
健康管理システムとジムを組み合わせた新たな提案!
4つ目のチームは、フィットネスジムとの提携に加え、大塚製薬が提供している栄養モニタリングサービスに着目した提案を行いました。フィットネス業界におけるサービスの差別化や会員維持率の向上を目指す内容です。講評では、フィットネスブームや中間層の出現などナイジェリアの現状分析が非常によくできており、優れた着眼点であるとの評価を受けました。一方で、自社でフィットネスジムを経営すると、既存ジムの競合になり、提携ができなくなるリスクもあり、調査を深める必要があるとの指摘もありました。
授業後半には、御厨 太郎氏による講演が行われました。講演は参加型形式で進められ、学生たちは意見を発表しながら学びを深めました。
講演では、企業が海外進出を行う理由として、より大きな市場で事業を展開し成長を目指すことや、現地の社会課題の解決に貢献できることなどが挙げられました。特に社会課題解決の重要性について触れ、新興国が抱える社会課題を一緒に解決してくれる「現地の味方」を見つけることが成功の鍵であるとしました。また、大塚製薬が持つ製品開発の経験や技術、海外事業で培った知見や人材といった強みが、海外展開を支える重要な要素であることも紹介されました。
さらに、企業の強み(Asset)を生かした事業展開の重要性についても語られました。こうした考え方は大塚製薬に限らず多くの企業に共通するものであり、学生たちは企業経営や海外ビジネスについて理解を深める機会となりました。
講演の最後には、学生発表に対する総括も行われました。御厨氏は、各チームが事業展開において協力を得る相手や支援主体を明確に設定していた点を高く評価しました。また、それぞれの提案には優れた着眼点と提案があった為に、これらを組み合わせれば、非常に現実的な実行可能な事業戦略につながる可能性があると講評しました。
今回のレポート発表と講演を通じて、事業計画を作成する際には多角的な社会課題から分析し、長期的な見通しを持って計画を立てることが重要であると学びました。
学生たちの発表では、ナイジェリアの状況を踏まえた具体的な提案が数多く示され、その発想力と分析力の高さに驚かされました。
また、御厨氏の講演からは、企業が海外で事業を展開する際に必要となる考え方や、企業の強みを生かした戦略の重要性について学ぶことができました。今回の授業は、国際ビジネスへの理解を深めるとともに、物事を多面的に捉えて課題解決に取り組む大切さを実感する機会となりました。