2026年6月3日(水)に「数理科学科 学生向け談話会」を開催しました。
今回の談話会では、数理科学科の新任教員である宍倉 光広 客員教授が講演を行いました。
「力学系に現れるカオスとフラクタル」 宍倉 光広 客員教授
宍倉 客員教授は「力学系に現れるカオスとフラクタル」という題目で講演を行いました。
力学系は時間とともに変化する規則を数学的に定式化したものです。
宍倉 客員教授の講演は、簡単な写像の反復により現れる基本的な力学系についての解説より始まりました。
またニュートン力学におけるN体問題や二重振り子、ロジスティック写像の反復等の例を示し、力学系の研究では初期値のわずかな違いにより将来に予測不可能な大きい違いが生じるという初期値鋭敏性(カオス)が見られることを説明しました。
続いて宍倉 客員教授は自身が専門とする複素力学系の入門として、簡単な2次写像の反復を考える中で捉えられる充填ジュリア集合やマンデルブロート集合という図形について、多くの美しいグラフィックや興味深いシミュレーション結果を示しつつ解説しました。
またこれらの図形がどれくらい複雑か、予測不可能かという困難さを表す指標として、位相的エントロピーという不変量が有効であることを紹介しました。
講演の終盤では、このような複雑な系の中に観察される自己相似性をもつ図形(フラクタル)に話が及び、そのような図形の次元として用いられるハウスドルフ次元を紹介しました。また「マンデルブロート集合の境界のハウスドルフ次元は2である」という自身の代表的な研究結果ならびにくりこみの手法に基づく力学系の最新の研究の動向を解説しました。
当日は悪天候にも関わらず多くの学生教員が談話会へ参加しました。講演終了後の質疑応答の時間には参加者から活発な質問があり、大盛況のうちに幕を閉じました。
本談話会が学生の更なる学習、研究の意欲向上に繋がれば嬉しく思います。
理学部では、学内教員や研究実績のある研究者、繋がりのある実務分野で活躍する人物を招聘し、定期的に談話会(講演会)を行っています。これにより、理学の最先端の研究内容に触れ、社会とのつながりや広がりを知る機会を提供しています。この談話会は、学生の学習意欲の向上、教員の研究意欲や質の向上にも寄与しています。参加対象は学生、教員、だけではなく、一般の方々も含まれます。