2026年9月16日(水)~18日(金)、岡山大学で開催された「ヒューマンインタフェースシンポジウム2026」の学生コンテスト「SICHI2026」に、先端情報学研究科の藤井 瑞生さん(博士前期課程・1年次)と、情報理工学部の淺野 友嗣さん(4年次)が出展しました。
SICHIは、主催者から提供される機器を活用し、学生が新しい体験や応用アイデアを形にして発表するコンテストです。今年度の課題機材には、脳血流の変化や脈拍などを計測できる小型装置「XB-01」が採用されました。藤井さんと淺野さんは、「ミーティング中、相手にいつ声をかければよいのか」という身近な課題に着目し、「CueSync:ミーティング中の声かけタイミング支援システム」を開発しました。
会議では、相手が考えを整理しているのか、それとも発言を促してほしいと感じているのかを、外見だけで判断することは容易ではありません。また、タイミングを誤って声をかけてしまうと、相手の思考を妨げてしまう場合もあります。そこで学生たちは、脳血流の変化から参加者の状態を推定し、その情報を会議の円滑な進行に役立てられないかという発想のもと、システムの制作に取り組みました。
コンテスト当日は、「CueSync」のデモ展示を実施しました。来場者に実際に計測機器を装着してもらい、自身の状態に応じてゲージが変化する様子を体験していただきました。展示を通じて、自ら制作したシステムを実際の利用者に体験してもらい、その場で意見や感想を得る貴重な機会となりました。学生たちは、技術を形にするだけでなく、その価値をどのように伝え、利用者に体験してもらうかを考えることの重要性を学びました。


活動に際して苦労した点・失敗した点など
特に苦労したのは、課題ガジェットから得られる脳血流データの扱いです。これまで扱ったことのないデータであったため、まず脳血流がどのようなものなのかを調査し、実際に計測することでデータの特徴を確認しました。その上でどのような状況で値が変化するのかについて、論文による調査と実際の計測を重ねながら検証しました。しかし、個人差や計測状況による変動もあり、得られた値をシステム上でどのように扱うかを決定するまでに試行錯誤を重ねました。また、展示で使用する造形物を3Dプリンタで制作した際は、設計ソフト上で設計した穴の大きさや全体のサイズ感が、実物では想定と異なることがありました。そのため、実際に印刷して確認しながら設計を修正する作業を何度も繰り返しました。時間はかかりましたが、修正を重ねて想定していた形に仕上がった際には、大きな達成感がありました。
活動に際して工夫した点・良かった点
工夫した点は、計測した脳血流の値を3段階に分け、周囲の人が直感的に状態を把握できるよう、物理的なゲージで表現したことです。今回制作したシステムは、ミーティング中に発言するタイミングの判断を支援することを目的としているため、細かな数値ではなく、一目で状態を把握できることを意識しました。また、良かった点は、実際に制作したシステムを用いたデモ展示を行えたことです。ポスターによる説明だけでなく、制作したものを見せながら説明することで、システムの特徴や動作をより具体的に伝えることができました。また、来場者に実際に体験してもらうことで、その場で作品に対する疑問点やアドバイスをいただくことができました。発表者から一方的に説明するだけでなく、制作物を通して来場者とやり取りしながら意見を得られることは、デモ展示ならではの良さだと感じました。
活動や発表を通して成長を感じた点
<先輩の立場から>
活動を通して、相手の考えを理解し、認識を共有しながら制作を進めることの大切さを学びました。今回は、システム構築について下級生の方が詳しい部分も多く、説明を聞いてもすぐには理解できないことがありました。そのようなときに、分からないまま作業を進めるのではなく、疑問に思ったことを質問し、相手がどのような考えで進めようとしているのかを理解することを意識しました。今回の経験から、上級生という立場にとらわれず、自分より知識を持つ相手から積極的に学び、理解した上で一緒に物事を進めていく姿勢の大切さを実感しました。
<後輩の立場から>
活動を通して、自分の知識や考えを相手に分かりやすく伝え、認識を共有しながら制作を進める力が身についたと感じています。システム構築では自分が中心となって説明する場面もありましたが、専門的な内容をそのまま伝えるだけでは、意図が十分に共有できないことがありました。そこで、処理の流れや目的を整理し、相手の理解度を確認しながら説明することを意識しました。また、上級生から意見をもらうことで、自分では気付かなかった課題や改善点を知ることができました。今回の経験から、チームで制作する際には、立場や学年に関係なく互いの知識を生かし、丁寧に意思疎通を重ねることが、より良い成果につながると学びました。
今後の展望について
本活動は授業をきっかけとして取り組んだものであり、CueSyncとしての制作は今回のコンテストを一つの区切りとしています。一方で、今回の活動では、これまで扱ったことのない脳血流について調査し、実際に計測しながらシステムへの活用方法を検討する経験を得ることができました。また、デモ展示を通して、制作したものを実際に体験してもらい、その場で意見を得ることの重要性も学びました。今回得た経験を、今後の自身の研究やシステム開発において、新しい技術やデータを扱う際の取り組み方や利用する人にわかりやすく伝えるための工夫に活かしていきたいと考えています。
後輩に向けたメッセージ
大学では、授業を受けるだけでなく、自分たちで考えたものを実際に形にし、学外で発表できる機会があります。今回の活動では、これまで扱ったことのない分野について調べたり、実際に手を動かしてシステムを制作したりと、普段の授業だけでは得られない経験をすることができました。また、制作したものを多くの方に見てもらい、さまざまな意見をいただけることも、このような活動に参加する良さだと思います。最初から十分な知識や技術がなくても、調べたり試したりしながら進めることで、新しく学べることが多くあります。大学にはさまざまな活動に挑戦できる機会があるので、少しでも興味を持ったものがあれば、ぜひ積極的に参加してみてください。
活動概要
| チーム名 | CueSync |
|---|---|
| メンバー ※ |
藤井 瑞生さん(先端情報学研究科博士前期課程・1年次) 淺野 友嗣さん(情報理工学部・4年次) |
| アドバイザー教員 | 情報理工学部 瀬川 典久教授、永谷 直久准教授 |
| イベント名 | ヒューマンインタフェースシンポジウム2026 学生コンテスト SICHI2026 |
| 開催日程 | 2026年9月16日(水)~9月18日(金) |
| 開催場所 | 岡山大学 津島キャンパス (〒700-8530 岡山市北区津島中3丁目1番1号) |
| 関連リンク | ・ヒューマンインタフェースシンポジウム2026 ・学生コンテスト SICHI2026 |
※年次・所属は発表時のものです。