文化学部 京都文化学科の田中 直子 准教授は、2012年から総本山醍醐寺で学芸員を務め、2026年4月に文化学部准教授に就任しました。
専門は、文化財学、文化史、教育学、博物館学、復元模写研究で、本学では「京都の文化財」や「京都文化学概論」などの京都文化に関する科目の他、学芸員課程関連科目も多数担当しています。現在も総本山醍醐寺の学芸員としての業務に従事しており、授業をとおして、国内有数の文化財公開施設で培った経験や知識を学生に伝えています。
このたび、6月6日~7日に山形県で開催された「第48回文化財保存修復学会」にて、田中准教授が研究代表者を務める共同研究の成果を報告しました。
【発表題名】
伝統的手法による鹿角膠の製造及び実験報告
Production and Experimental Study of Deer Antler Glue according to Classical Methods
【発表者】
◎田中直子(京都産業大学・醍醐寺学芸員兼務)、梅垣淑子・稲葉月乃・平井美羽・富澤千砂子(六法美術)、清水千尋・坂田さとこ(坂田墨珠堂)の共同研究
◎研究代表者

報告の様子
【要旨】
膠は、文化財の制作はもとより修理にも欠かすことのできない材料である。そのうち鹿角を用いた膠製作においては、『墨経』などを典拠とした先行研究が知られているが、現代的かつ合理的な手法を採用している。
『墨経』によれば、膠の材料として馬、牛、鹿など数種の動物が挙げられ、なかでも鹿角は得難いとし、その製法として「寸」の如く断った鹿角の不要部分を除き「七昼夜」河水に漬けて「一昼夜」煎じると記されている。
平安時代に編纂された『延喜式』には、鹿角は丹波や播磨などから納められているとあり、『本草和名』では薬として鹿角を製して膠にしたものを「白膠」と称していた。
本研究では可能な限り古来に近い手法で鹿角膠の復元製造を試みた。製造法は『墨経』に従った。
その結果、抽出時間とゲル化の相関関係に先行研究とは異なる知見を得た。さらに出来上がった鹿角膠で溶いた顔料を塗布してみたところ、従来の牛皮由来の三千本膠に比べて発色が鮮やかである上、ゲル化温度が低く、かつ柔軟性に富むなど興味深い結果を得た。
本表では、膠研究の一考察として実践の経過とその成果を報告した。