2026.06.12

教育プログラム支援制度「学内報告会」を開催しました

令和8年6月3日(水)、教育プログラム支援制度学内報告会(令和7年度採択プログラム)を開催しました。
教育プログラム支援制度は、本学の教育の質向上を目指し、授業科目の開発・運営、正課の授業に係る基礎調査や試行的な取り組み等のFD活動に対する支援を行う制度です。本制度では、特定の科目や学部等での取り組みが、他の科目や他学部等でも活用できるといった全学展開が可能な試行的、発展的な活動を支援することにより、全学的な教育力向上に資するような波及効果のある取り組みを支援することをねらいとしています。
この学内報告会は採択プログラムの取り組みの報告および成果の発表の場として、本制度の支援を受けた教員から、報告いただくものです。
令和7年度採択プログラム4件について、各取り組みに携わった先生方から、実施して良かった点、反省点や課題、今後の展望について報告がありました。

①共通教育推進機構 松尾智晶准教授 テーマ:「初年次教育実践知の共有整理発信と持続的向上の基盤形成」

各学部・学科等で実施されている初年次教育の実践内容を整理し、学部を超えて共有・議論する取り組みについて報告がありました。
初年次教育に関するヒアリング調査を行い、各学部・学科等が重視している内容や運営体制、質保証のあり方などを整理し、初年次教育が単なる補習教育ではなく、大学での学びへの移行を支える重要な教育活動であることが説明されました。
また、ヒアリング結果をもとに、各学部・学科の学生像を具体化した「ペルソナストーリー」を作成し、ワークショップや合宿を通じて、初年次教育のあり方について意見交換を行ったことが紹介されました。学部間の違いや各取り組みの強みを可視化することで、今後の教育改善に向けた基盤形成につながったことが報告されました。

松尾先生の報告
②情報理工学部 棟方渚教授 テーマ:「学生エンゲージメントを高める学内情報提示アプリの開発と実証」

学生の行動変容や学内での主体的な活動参加を促すWebアプリケーションの開発と実証実験について報告がありました。
学内の混雑状況やイベント情報等をアプリ上で提示し、学生が空き時間や帰宅時間を活用して学内イベント等に参加できる仕組みを構築しました。アプリでは、学内の人流データや学生の空きコマ情報等をもとに、イベント案内や通知を行い、学内のさまざまな場所への移動や参加を促す実証を行いました。
アプリ開発を通じて、情報理工学部の学生が実践的なシステム開発の経験を積んだことに加え、他学部の学生・教員との協働を通じて、異なる専門分野の関係者と連携しながら課題に取り組む学びが得られたことが紹介されました。また、学生からは、学内にあるとよいアプリや機能について様々な意見が寄せられ、学生エンゲージメントを高める仕組みづくりの可能性について、報告されました。

棟方先生の報告
③生命科学部 佐藤賢一教授 テーマ:「ハテナソンセミナーにおけるコーチングの導入、ワークブック制作」

全学共通教育科目「ハテナソンセミナー」におけるコーチングの導入と、授業実践をもとにしたワークブック制作について報告がありました。
「ハテナソンセミナー」は、学生が自ら問いを立て、大学での学びや社会、自分自身について考えを深めていく初年次教育科目です。外部のプロコーチの協力を得て、授業内に複数回のコーチングセッションを導入しました。学生が自分の考えを言葉にし、他者に聞いてもらう経験を重ねることで、問いづくりや学びの振り返りを深めることを目指しました。
コーチングを通じて、学生が自分自身の気づきや考えをより豊かに表現するようになったこと、また、授業を支えるティーチング/ラーニングのガイドとしてワークブックを制作したことが紹介されました。今後は、学生同士が互いに学びを支え合うピア・コーチングの仕組みづくりにも取り組んでいく予定であることが報告されました。

佐藤先生の報告
④理学部 河北秀世教授 テーマ:「理学部 課題発見・解決チャレンジ」 ※動画による報告

理学部における産学連携型PBLの構築を目指し、学生が宇宙産業に関する展示会や企業訪問等を通じて、産業界の動向や課題を調査しました。理学部の基礎的な学びを、社会や産業界の課題とどのように接続できるかを検討する試行的な取り組みです。
京都市内の宇宙産業関連企業との連携や、展示会での情報収集、学生による調査結果の整理・報告を通じて、企業側にも学生側にも学びのある関係構築ができたことが紹介されました。一方で、学生が展示会等に参加するための旅費や、取り組みを継続・拡大するための費用負担など、今後の課題についても報告されました。

河北先生の動画報告

当日は、17人の教職員の参加があり、各報告に対する質問も活発に行われました。
各報告後には質疑応答を行い、後半には佐藤教育支援研究開発センター長の進行により、参加者を交えたパネルディスカッションを実施しました。
パネルディスカッションでは、初年次教育におけるアカデミックスキルと専門教育への導入の関係、学生エンゲージメントの捉え方、教育プログラムの成果をどのように評価するか、また、優れた取り組みを学部内外へどのように展開していくかについて意見交換が行われました。
参加者からは、採択プログラムの成果を同じ学部内や他学部へどのように広げていくかが重要であること、取り組みを継続・展開していくためには、ヒト・モノ・カネの課題を整理する必要があることなどについて意見がありました。また、大学院教育への活用可能性や、文系・理系を超えた学生同士の交流の意義についても意見が交わされました。
佐藤教育支援研究開発センター長の総括では、教育プログラム支援制度による取り組みについて、学生の学びを支えるだけでなく、取り組みに関わる教職員自身も啓発を受け、成長していく契機にもなると述べられました。
今年度からは新たに「教育イノベーション・トライアル支援制度」として制度を再編し、教育改革・改善に向けた取り組みをさらに支援していきます。

パネルディスカッションの様子①
パネルディスカッションの様子②

取組概要は、「2025(令和7)年度 教育プログラム支援制度 採択プログラム一覧」からご確認ください。

  取組テーマ 申請代表者
初年次教育実践知の共有整理発信と持続的向上の基盤形成 共通教育推進機構 中澤 正江 准教授
学生エンゲージメントを高める学内情報提示アプリの開発と実証 情報理工学部 棟方 渚 教授
ハテナソンセミナーにおけるコーチングの導入、ワークブック制作 生命科学部 佐藤 賢一 教授
理学部 課題発見・解決チャレンジ 理学部 牛瀧 文宏 教授