2026.06.03

理学部 宇宙物理・気象学科の4年生が学会発表を行いました

理学部宇宙物理・気象学科の4年生の4名が、2026年5月24日から幕張メッセで行われた日本地球惑星科学連合(JpGU)2026年大会に参加しました。「Global Survey of Cloud Trains Associated with Martian Mountain Lee Wave: Seasonal and Regional Characteristics」と題したポスター発表を行い、多くの聴講者を集めました。幕張メッセの巨大な展示ホールでは、JAXAハイパーウォールをはじめとする様々なイベントが開催され、関連企業や大学のブースが乱立し、その横で無数のポスター発表が行われました。学生4名は約1時間半にわたって途切れることのない聴講者に熱心に説明していました。

宇宙物理・気象学PBL演習Cの履修者の皆さん

日本の奥羽山脈の東側などには風下山岳波によって波状雲が形成することが知られています。気象衛星ひまわりの観測画像でもよく見つかりますし、我々が空を見上げた時に見つけられることもあります。このような波状雲は地球だけでなく火星でも発生することが分かっています。本研究では、火星デイリー全球気象マップ(MDGM)バージョン2(Wang 2023)を用い、火星の約6〜7年分のデータを目視確認し、波状雲とみられる雲列の分布を調査しました。その結果、合計23,969個の雲列を目で確認して抽出しました。それぞれの雲について、両端の位置を記録し、緯度と経度に変換して、季節や地域ごとの特徴を解析しました。

検出された雲には、はっきりとした季節変化と緯度による違いが見られました。北半球の夏に11,229個、冬に12,740個の雲が確認されました。また、中緯度で20,580個、低緯度で1,282個の雲が見つかりました。雲列は、フレグラ山地(Phlegra Montes)の東側、エリシウム山(Elysium Mons)の西側やタルシス山群(Tharsis Montes)の北東でも観測されました。さらに、北半球の大きなクレーターの東側には、多くの雲列が集中して見られました。

季節ごとの風の状態は、これらの雲の形成に大きく関わっていました。北半球の中緯度から高緯度では、強い西風が吹く冬に雲列が主に形成されていました。一方、低緯度では、東風が強くなる北半球の夏に雲列が現れました。これは、北半球の中緯度で見られる現象と、風向きが逆になって起きていることを示しています。また、南半球の中緯度では、波状の雲がアルギュレ平原(Argyre Planitia)やヘラス盆地(Hellas Basin)を避けるように分布する、はっきりした空間パターンも見られました。

宇宙物理・気象学科では2023年度から少人数制の宇宙物理・気象学PBL演習A、 BおよびCを正規科目として開講しています。宇宙物理・気象学PBL演習AおよびBで1年かけて研究を行い、次年度の宇宙物理・気象学PBL演習Cで研究内容を学会発表することを目指します。今回発表した4年生4人は、昨年の4月から研究を始めました。最初はあまりに膨大な観測データ量に呆然としていましたが、腰を据えて目視確認用ツールを自作し、結果をお互い交換して目視確認をやり直すことで、効率と信頼度を向上させました。何度も分析結果を持ち寄って打ち合わせを行い、研究成果をまとめることができました。

第1著者(右側)が質問に対応するシーン。質問しているのはNASA ジェット推進研究所(JPL)の研究者(左側)。頑張って英語で説明していました。

学会概要
名称 日本地球惑星科学連合2026年大会
場所 幕張メッセ国際会議場
期間 2026.05.24-2026.05.29