2026.05.08

本学教員も寄稿、「歴史総合」(高等学校必修科目)がひらく新たな学びを論じた書籍が刊行

2022年度から高等学校で必修科目となった「歴史総合」は、日本史と世界史を統合し、近現代を中心に「私たちが生きる現在」と歴史との関係を考えることを目的とした新しい歴史科目です。知識の暗記にとどまらず、資料をもとに考え、対話し、現代社会の課題と向き合う力を育てることが求められており、従来の歴史教育の枠組みをひらく試みとして、教育現場では大きな関心と議論を集めています。

こうした状況の中、向 正樹氏責任編集・高大連携歴史教育研究会編『歴史総合〈私たち〉の物語をつくる――今ここからその先へ』が、ミネルヴァ書房より刊行されました。本書は、「歴史総合」の成立背景や教育的意義を整理するとともに、高等学校と大学をつなぐ視点から、現在の実践と今後の可能性を多角的に論じた一冊です。

『歴史総合』書影

本書には、本学経済学部の玉木 俊明教授および文化学部の梶原 洋一准教授が寄稿しています。玉木教授は、近代世界システム論やグローバルヒストリーの視点から近現代史を捉え直し、国家や地域の枠を超えた長期的な視野で世界の歴史を理解する重要性を論じています。人・モノ・情報・資本の移動に着目したその議論は、現代社会の成り立ちを歴史的に読み解く視座を与え、「歴史総合」が目指す、世界史と日本史を横断する学びをより広い世界へとひらくものとなっています。

一方、梶原准教授は、学校教育の場に限らず、私たちが日常的に接しているメディアを通じて、歴史がどのように理解され、社会に共有されているのかに注目しています。実際に学習マンガの制作に関わった経験を踏まえ、専門的な歴史研究や学術的な知見が、どのように物語として再構成され、読者にとっての「歴史理解の入口」となっているのかを具体的に示している点が特徴です。こうした考察は、「歴史総合」が重視する多様な資料や表現を通じて思考を深めていく学びのあり方を、身近な実例からひらいていくものです。

また、本学文化学部の中田 美絵准教授は、巻末に収録された「歴史総合関連書籍案内」の作成を担当しました。この書籍案内では、「歴史総合」の理解をさらに深め、次の探究へと歩みをひらくための手がかりとなる文献が体系的に整理されており、高等学校での学びから大学での専門的な学修へと円滑につながる構成となっています。

これら本学教員3人はいずれも歴史学を専門とする研究者であり、それぞれの専門的知見を生かしながら、高校教育・大学教育・社会を結ぶ役割を担っています。本書の刊行は、本学における歴史学研究が、高大連携への貢献を通じて、教育現場や社会に広くひらかれていることを示す具体的な成果の一つです。

今後も本学では、歴史学をはじめとする人文学研究の成果を教育と社会へと還元し、高等学校と大学をつなぐ学びの架け橋として、高大連携のさらなる充実と発展に取り組んでいきます。

出版元HP