<共創チャレンジプログラム活動報告#15>DEIM2026にて学生が研究成果の発表を行いました
2026年2月28日(土) ~3月5日(木)に「DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」が開催され、情報理工学部の小谷 涼太さん(4年次)、水田 龍汰さん(3年次)の2人が参加し、研究活動の成果報告発表を行いました。DEIM2026は延べ800〜900名規模が参加する、データ工学分野では国内最大規模になるフォーラムです。
小谷さんたちは、ChatGPTのような最新のAI技術(大規模言語モデル)を使って医師を目指す学生が「患者さんとの会話(問診)」を練習するための「AIの患者さん(チャットボット)」を開発しました。単にAIへ「精神疾患の患者役をして」と指示するだけでは、ロボットのような不自然な返答になってしまいます。そこで、AIへの指示の出し方(プロンプトエンジニアリング)を工夫し「名前・年齢・家族構成・いつから具合が悪いか・普段の生活の様子」といった細かい人物設定を作り込みました。さらに、実際のお医者さんと患者さんの対話動画から「リアルな話し方」の例を取り入れることで、まるで本物の人間のように自然に話す患者さんを再現することを目指しました。
学会発表では、多くの専門家と活発な意見交換を行いました。「AIが本当に患者さんらしく振る舞えているかを、どうやって正しく評価・採点するべきか」や「実際の病院でのやり取りにより近づけるためには、どんな機能を追加すればよいか」など、様々な視点から今後の開発のヒントになる貴重なアドバイスを多数得ることができました。
活動に際して苦労した点・失敗した点など
研究を進める上で、システムの新規性や独創性の観点は極めて重要です。そのため、既存の医療面接訓練システムや生成AIの活用事例など、関連研究の調査および必要となる技術の調査に非常に苦労しました。特にAIに「人間らしい精神疾患患者の振る舞い」を再現させるためのプロンプトの調整は試行錯誤の連続でした。
また、学会に向けた準備においてはスライド・ポスター発表という形式に合わせて、複雑なシステムの仕組みやプロンプトの工夫を聴講者目線でわかりやすく伝わる発表資料を発表形式ごとに落とし込むことにも苦労しました。
活動に際して工夫した点・良かった点
週に1回、指導教員やチームメンバーとのミーティングを実施したことです。この場で進捗状況や疑問点、現在の課題を共有して議論を深めることで、多角的かつ客観的な意見を得られ、研究全体のクオリティを向上させることができました。また定期的にチーム内へ状況報告を行うこと自体が、結果として学会発表に向けた良いプレゼンテーションの練習になっていました。
さらに良かった点として、学会本番において多様な専門家から今後の開発に直結するコメントを頂けたことが挙げられます。「初めから疾患を指定するのではなく、対話を通じて徐々に疾患が特定されていく仕組み」や「重症度による違いの調整機能」、「チャットボット側から訓練者へのフィードバック機能」など、実際の医療現場により近い実用的なシステムへと昇華させるための具体的なアイデアや方向性を多数得ることができました。
活動や発表を通して成長を感じた点
<先輩の立場から>
自分自身が先輩から教わったことを中心に、研究のフォローなどを行ないました。後輩へ教えることで、ポスターやスライド作成の注意点をより意識できるようになり、自身の成長を感じることができました。また、口頭発表よりも質疑応答の時間が長く取れるポスター発表でしっかりと質問者と議論ができました。その理由は発表練習を積み重ねたことや、日々のミーティングでの指導があったからです。学会まで半年という短い期間の中で、学生や先生などからの幅広い質疑に何度も応えてきたことが発表でも生かされ、一緒に取り組んできたメンバーの成長を感じられました。
<後輩の立場から>
自分の研究を多くの人の前で発表し、それを乗り越えたことで大きな自信がつきました。初めての学会発表は非常に緊張しましたが、これまで準備してきた成果を自らの言葉でしっかりと伝えられた経験は今後の大きな糧となりました。日々の活動においては、先輩方の真摯な姿勢や的確な助言を常に参考にしながら、直面した課題に対してどのようにアプローチし研究を進めていくべきかの手法を実践的に学ぶことができました。学会発表では他大学の先生方からの質疑応答を間近で聞き、自分たちの研究を客観的に評価し直す視点を学ぶことができました。このプロジェクトを通じて、緊張に打ち勝ち堂々と発表する力と、先を見据えて主体的に研究を展開していく力の両方を身につけることができたと感じています。
今後の展望について
学会で得られた指摘を踏まえ、まずはプロンプトエンジニアリングの有無による比較評価など、システムの妥当性を検証する評価実験を再設計します。また、精神疾患のガイドライン等の医学的知見を基にプロンプトを改良し、対話のやり取りで疾患を特定していく仕組みや重症度の調整など実環境に近い状況を再現できるようにします。最終的には模擬患者からのフィードバック機能の実装などシステムの高度化に取り組んでいきます。
後輩に向けたメッセージ
なかなか学会発表をする機会というのは研究室によってはないかもしれません。しかし、 学会発表を経験すると先生方や参加学生からフィードバックや質疑をもらうことができ、自分の研究を深めるきっかけになります。さらに他の人の研究を見ることで、研究で実際に使ったことがない評価指標や手法を知ることができるため、研究を進める際のアイデア出しや今後のことを考える上で、自分の考えだけで進めることが少なくなり、研究を進めやすくなると思います。また、情報理工学部では卒業論文という形で研究を発表する機会が必ず訪れますが、事前に学会発表を経験しておくと、教員からの十分な指導や定期的な研究整理を通じて、資料作成がスムーズになり、研究内容も整理しやすくなるため、自信を持って発表に臨めます。今回のように研究成果を報告し多くの人に見てもらうことで、自分の成長も実感できるはずです。共創チャレンジプログラムという制度があり参加しやすくなっているので、ぜひ挑戦してみてください。
活動概要
| チーム名 | 精神疾患模擬患者Chatbotチーム |
|---|---|
| メンバー ※ |
小谷 涼太さん(情報理工学部・4年次) 水田 龍汰さん(情報理工学部・3年次) |
| アドバイザー教員 | 情報理工学部 中島 伸介 教授 |
| イベント名 | DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(第24回日本データベース学会年次大会) |
| 開催日程 | 2026年2月28日(土)~3月5日(木) |
| 開催場所 | 神戸国際会議場・展示場(ポートアイランド) (神戸市中央区港島中町6-9-1) |
| 関連リンク | DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム |
※年次・所属は発表時のものです。