<共創チャレンジプログラム活動報告#14>DEIM2026にて学生が研究成果の発表を行いました
2026年2月28日(土) ~3月5日(木)に「DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」が開催され、横山 皓祐さん(先端情報学研究科博士前期課程・2年次)、丸尾 悠暉さん(情報理工学部・3年次)の2人が参加しました。DEIM2026は延べ800〜900名規模が参加する、データ工学分野では国内最大規模になるフォーラムです。
横山さんたちは、視覚障がい者がメタバース(仮想空間)で他者と交流する際、相手の「雰囲気」や「キャラクター性」を直感的に理解できるよう支援する研究に取り組みました。現在のVR空間は視覚情報が中心であり、相手のアバターがどのような姿(体格や服装)をしているかを知ることが難しく、心理的な距離感が生じる課題があります。そこで、アバターの移動に伴い発生する「足音」に着目しました。
まずはUnityというゲーム開発ツールを用い、特徴を強調・デフォルメした足音を作成するシステムを構築しました。具体的には、ピッチや周波数を調整することで、革靴やヒール、ロボットといった多様なキャラクター性を表現しています。
その後、作成した音源を用いて大規模な聴取実験を行い、どのような音がどのような印象を与えるかをデータ分析しました。この一連のプロセスを経て、研究成果を発表しました。


活動に際して苦労した点・失敗した点など
最も苦労したのは、プロジェクトの進行管理と研究で使用する音声の収集です。複数メンバーでの研究は初めてだったので、互いの担当をどうするか、どう共有していくのか苦労しました。また、研究で使用する音声について、妥当だと思われる音声の収集・選定が困難でした。そこで毎週のミーティングで「今週は何を解決するか」というタスクを細分化し、一歩ずつ進める工夫をしました。
また、実験で得られたデータの整理にも苦戦しました。単に数字を並べるだけでは研究の本質が伝わらないため、チーム内で何度も議論を重ね、説得力のある論理構成を組み立てることに時間を費やしました。
発表準備の段階では、研究の意義を伝える難しさに直面しました。特にスライド作成では、情報量を詰め込みすぎてしまい、一目で内容が伝わらないという失敗も経験しましたが、メンバー間での相互チェックを繰り返すことで改善していきました。
活動に際して工夫した点・良かった点
工夫した点は、チーム内のコミュニケーションの質を高めたことです。毎週の対面ミーティングに加え、チャットツールを活用して進捗をリアルタイムで共有し、課題が生じたらすぐに相談できる環境を作りました。これにより、連携がスムーズになり、効率的に作業を進めることができました。
また、学会発表の資料作成には特に力を入れました。図解や音声を効果的に配置し、聴衆が音の変化を理解できるような直感的な構成を追求しました。
良かった点は、アドバイザーの教員から客観的なレビューをいただけたことです。自分たちだけでは気づけなかった論理の弱点や、第三者視点での貴重なアドバイスをいただいたことで、発表内容を大幅にブラッシュアップすることができました。チーム一丸となって資料を作り込み、学会という大舞台で自信を持って発表できたことは、最高の成功体験となりました。
活動や発表を通して成長を感じた点
<先輩の立場から>
プロジェクト全体の進捗管理を担い、チームを一つのゴールへ導くマネジメント力が大きく向上しました。特に毎週の定例会議では、システム実装とデータ分析の進捗を細かく同期させ、課題を切り分けて各メンバーの適性に合わせたタスク配分を徹底しました。議論が停滞した際に新たな方向性を提示する役割を担う中で、チームの足並みを揃える調整役としてのリーダーシップの重要性を再認識しました。また、後輩への技術指導や資料の相互添削を通じて、自分の知識を客観的に捉え、言語化して正確に伝える力も磨かれました。学会発表という大きな目標に向けてチームを牽引し、成果を形にした経験は、自身の確かな成長に繋がりました。
<後輩の立場から>
先輩の指導を仰ぎながら調査、実装、発表準備までの一連の工程に主体的に取り組む中で、自ら考えて行動する力が身につきました。特に毎週のミーティングでは、先輩との議論を通じて一つの課題に対して多角的な視点からアプローチする研究姿勢を学び、外部の先生からの助言も踏まえて内容をブラッシュアップする難しさと楽しさを知りました。学会発表に向けては、複雑な分析結果を視覚的に分かりやすく伝えるための資料の作成に注力しました。大勢の専門家が集まる公の場で、自分の言葉で研究成果を伝えた経験は、当初抱いていたプレゼンテーションへの苦手意識を克服するきっかけとなり、技術的・精神的に大きな自信を得ることができました。
今後の展望について
本研究で得られた足音の設計指針をベースに、実際の視覚障がい者の方々を対象とした評価実験を行い、より実用的なアクセシビリティ支援へと発展させたいと考えています。また、現在は定型的な足音の提示に留まっていますが、将来的には足音のテンポを操作することで個人の識別に有効か検証したり、ユーザーの好みや状況に合わせて、相手の足音をより親しみやすく動的に変換するシステムの構築を目指します。姿が見えないことによる威圧感や不安を音のデザインで解消し、誰もが能動的に、そして安心して楽しめるインクルーシブなメタバースの実現に貢献していきたいです。
後輩に向けたメッセージ
共創チャレンジプログラムの支援を受けて研究活動を行うことで、自ら課題を見つけ出し、能動的に行動する力を養うことができる非常に貴重な機会を得られたと感じました。実際の研究活動や大規模な学会発表を経験することで、専門的な知識や技術はもちろん、論理的な思考力やプレゼンテーション能力など、将来にわたって役立つ多くのスキルを身につけることができます。私たちの活動でも、毎週のミーティングで課題を整理し、チームで試行錯誤を繰り返しながら一つの成果を形にしていきました。壁にぶつかることもありましたが、仲間と議論を重ねて乗り越える経験は大きな自信に繋がりました。ぜひ主体的に取り組み、多くの学びとともに自分自身の確かな成長を実感してほしいです。
活動概要
| チーム名 | 視覚障がい者向けVR開発チーム |
|---|---|
| メンバー ※ |
横山 皓祐さん(大学院先端情報学研究科・博士前期2年次) 丸尾 悠暉さん(情報理工学部・3年次) |
| アドバイザー教員 | 情報理工学部 中島 伸介 教授 |
| イベント名 | DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(第24回日本データベース学会年次大会) |
| 開催日程 | 2026年2月28日(土)~3月5日(木) |
| 開催場所 | 神戸国際会議場・展示場(ポートアイランド) (神戸市中央区港島中町6-9-1) |
| 関連リンク | DEIM2026 第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム |
※年次・所属は発表時のものです。