2026.03.26

【世界問題研究所】2025年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式開催

 京都産業大学世界問題研究所主催の2025年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式が、2026年3月11日(水)にオンラインで開催されました。世界問題研究所の所員や関係者、懸賞論文の入賞者など11名が参加しました。

「若泉敬記念基金」懸賞論文は、長年にわたって世界問題研究所所長を務めた故 若泉 敬 教授の寄付をもとに設置された「若泉敬記念基金」の活動の一環として実施されています。本学の学生を対象に「今日の世界問題に関するテーマを各自で設定し、副題をつけて論じる」という趣旨で論文を募集したところ、第23回目にあたる本年度は13篇の応募作があり、二席2篇・佳作5篇の計7篇が入賞しました(一席は該当作なし)。

表彰式では世界問題研究所所員の耳野 健二 現代社会学部教授が司会進行を務めるなか、まずは所長の岩本 誠吾 法学部客員教授から所長挨拶がありました。挨拶では、「今日の世界問題について」という幅広い主題を設けて数多くの論文を募り優秀作には奨学金を授与することで学業増進の励みにしてもらうのが懸賞論文の目的であることや、若泉先生の「心田を耕す」という言葉が紹介されました。その上で、AIが人間並みに文章を作ることができる時代だからこそ、自分で読み、考える、書くことの意義についてかみしめてほしいとのお話しがありました。そして、岩本所長から入賞者一人一人に賞状が授与されました。

その後、入賞作の講評に移りました。まず岩本所長から「多くの学部から応募がありました。また、2年次から4年次まで幅広い学年からの応募がありました。2年連続で応募された学生さんも2人もいらっしゃいます。主催者側として、果敢に挑戦してくれた多くの学生さんの熱意に感謝するとともに、高く評価したいと思います」「13篇は、着眼点、論文構成、分析方法など、いずれも学術的レベルの高い論文でありました。そのため、甲乙付け難かったですが、審査の結果、ニ席に2篇、佳作に5篇が選ばれました」「生成AIはあくまで情報収集の補助手段として活用するのは良いと思いますが、それを鵜呑みにしないで、必ず自分で原典に当たって再度それを確かめることが必要です。そうでないと、若泉敬先生のおっしゃる自分で「読み、書き、考える」ことにはなりません」との講評がありました。

つづいて、二席の2篇について、所員の耳野 健二 現代社会学部教授から、論文の内容の紹介とともに、どのような点が高い評価を得たのかについての詳しい講評がありました。また、佳作の5篇については、所員の中井 歩 法学部教授から、優れた点とさらなる研鑽を期待する点について、個別に講評が行われました。

その後、世界問題研究会INC(インターネットクラブ)会長の澤野 勝彦氏から祝辞が披露されました。祝辞では、「近年は帝国主義の再来と思われる弱肉強食の世界と化し、地政学的リスクが増大して先の見えない状況となっています。今回入賞された皆さんは、そんな意識を持たれ、いろいろな課題や種々の問題に鋭意チャレンジ・入賞されました。是非とも若泉 敬 先生の志と京都産業大学の神山スピリットとを高く掲げ、今後の人生に果敢に挑戦していただきたいと思います。」とのメッセージをいただきました。

最後に、入賞者一人一人から執筆時の苦労や受賞の喜びなどが語られました。入賞者からは「はじめての本格的な論文執筆だったが、試行錯誤しながら書き進めることで多くのことを学ぶことができた。入賞を励みにこれからも学びを深めていきたい」「現在進行形の事案を対象にしていたので、データの収集においても苦労をした」「研究として新規性を出すために分析手法を勉強することからはじめて、実際に研究に応用したというプロセスでは楽しく取り組むことができた」「今回いただいた講評をもとに今後に活かしていきたい」「来年度進学する大学院では、さらに研究を深めたい」といった声などが、寄せられました。

二席

・国際関係学部 国際関係学科 3年次 杉本 芙優

「再生可能エネルギー普及・拡大をめぐるエネルギー不正義:メガソーラーをめぐる地域係争を事例に」


・文化学部 国際文化学科 2年次 松井 健太

「マリア・モンテッソーリの平和論―リソルジメント民主派の思想とカトリック信仰との関係を中心に―」

佳作

・国際関係学部 国際関係学科 4年次 黒川 大和
「ドイツにおける産業デジタル化政策の展開」


・法学部 法律学科 3年次 小嶋 智廣
「ロシア制裁回避防止をめぐる国際法解釈と政策的対応——データサイエンスによる実証的分析を用いて——」


・国際関係学部 国際関係学科 4年次 清水 佳穂
「EUにおける人の自由移動とフィンランドの労働市場~国際移動の枠組みとその経済・社会的影響に関する分析~」


・国際関係学部 国際関係学科 4年次 杉 旺城
「ポピュリズムはいかにして生み出されるのか―質的比較分析を用いた十分条件の検証―」

・国際関係学部 国際関係学科 4年次 軒端 来実
「中国の気候変動対策におけるサステナビリティ戦略の考察」

その他の応募作

・国際関係学部 国際関係学科4年次 稲葉 美咲
 「環境問題におけるAIの活用―中立性の幻想と価値の考察―」


・国際関係学部 国際関係学科4年次 上田 友津
「持続可能な世界観光の在り方―未来学的視点に基づくパラオの事例分析―」


・国際関係学部 国際関係学科4年次 清 心美
 「米中覇権争いの行方~台湾を巡る対立から考える~」


・国際関係学部 国際関係学科4年次 高林 未来
「持続可能な観光産業の形成―様々なリスクに対し耐久性のある産業にしていくために―」


・国際関係学部 国際関係学科4年次 西野 貴翔
 「ヨーロッパの通商政策と対中姿勢」


・外国語学部 ヨーロッパ言語学科 4年次 安川 知希
「スペイン語諸国(中南米)と中国の関係性について 経済安全保障の側面からの検証」

 ※区分ごとに氏名の50音順

若泉敬記念基金

若泉 敬(わかいずみ けい 1930-1996年) 国際政治学者。東京大学法学部を卒業し、ロンドン大学やジョンズ・ホプキンズ大学に留学。1966 年に本学教授として招聘され、同年世界問題研究所所員となり、1970 年から 1980 年まで同研究所所長を務める。1992 年退職時には退職金の全額を同研究所の活動資金として寄付。同研究所では 2001 年にこれを「若泉敬記念基金」と命名。若者の教育に熱心だった若泉教授の精神を学生に伝承するため、講演会開催、懸賞論文募集などの経費に充てている。

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