2026年3月4日(水)にバイオフォーラムを開催しました。
今回は、星薬科大学 薬学部・先端生命科学研究所の田村英紀氏を講師にお迎えし、「ストレスを感じた脳はどう判断するか」と題してご講演いただきました。
講演では、ストレスを受けたときに脳と身体で何が起こり、神経回路がどのように変化するのかを、マウスの行動実験や生理学的な指標を交えて分かりやすく紹介されました。

講演の中心となった問いは、「高まったストレス反応は、どのようにして元の状態へ戻っていくのか」です。田村氏はこの“回復”の過程に注目し、神経ペプチドの一つであるソマトスタチンを発現する神経細胞の役割について最新の研究成果を解説されました。ソマトスタチンは、ストレス直後に生じる一時的な不安反応というよりも、時間の経過とともに不安がやわらいでいく回復過程に関わる可能性が示されました。
さらに、不安が高まったとき/落ち着いたときに、マウスが行動の優先順位をどのように切り替えるのかについても議論がありました。たとえばストレス下では、空腹でも餌を探索する行動が低下し、「食べるよりも安全を優先する」といった判断が起こります。田村氏は、ホルモン制御に関わる脳領域に存在するソマトスタチン神経細胞が、こうした「求食より安全確保」へのスイッチを促す可能性を提案されました。
