2026.03.03

国際関係学部山本和也教授が政治経済学における一般可能性定理(アローの不可能性定理)の厳密な証明を国際誌に出版しました。

国際関係学部山本和也教授による、政治経済学における一般可能性定理(アローの不可能性定理)を厳密に証明した論文が国際学術雑誌PLOS Oneに掲載されました。

研究の背景と概要

経済学者ケネス・アローによる不可能性定理は、3つ以上の選択肢に対して合理的とみなせる順位付けを行っている人々を想定した場合、民主主義制度として広く認められる制度(例えば全会一致の場合にはその選択を社会全体の選択とする)のもとでは、自らの好みをすべて実現できる人がたった1人だけ存在するような社会以外は実現しえないことを数学的に示したものです。これを独裁制とアローが表現したこともあって、同定理は現代政治経済学における最も著名な定理の1つとなっており、一般均衡理論と並んで、同氏のノーベル経済学賞受賞理由を構成しています。

この定理の理解は難しいと一般的には言われています。そのため、20世紀半ばに定理が示されて以来、アロー自身の新証明も含め、現在まで数多くの証明が提出されてきました。しかしながら、それら証明のほとんどは決定集合もしくは要(かなめ)投票者という2つの概念のいずれかを用いて作られており、新証明ではあるものの、既存の証明の作り直しという側面がありました。また既存の証明は、定理の直観的な理解しやすさを求めるあまり、厳密性という点においては曖昧さを残すものでした。

これに対して本研究は、数理論理学における証明理論に基づいて同定理を構成することで、従来の証明にみられた自然言語による曖昧さを排除した厳密な証明を行っています。また、決定集合や要投票者など、同定理を証明するためにこれまで発案されてきた何らかの概念を用いていない点でも、新証明としての意義を示しています。

掲載論文

筆者: Kazuya Yamamoto
題目: A full formal representation of Arrow’s impossibility theorem
掲載誌: PLOS One 21 (2): e0343069
DOI: 10.1371/journal.pone.0343069
URL: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0343069

参考

京都産業大学 教員紹介ページ: 山本 和也 教授