2026年1月15日(木)昼休みに、国際関係学部独自の定例イベント「News解説ワークショップ」の特別企画が開催されました。今回は、2026年3月末をもって退職される北澤義之教授の最終講義として、「ガザ『停戦』―パレスチナ人の視点から」をテーマに行われました。国際関係学部の学生や教員の多くが参加し、長きにわたり中東地域研究から国際関係を分析してこられた北澤教授の含蓄深いお話に耳を傾ける貴重な機会となりました。
最初に、北澤教授は、現在のガザ情勢を「人道的に極めて厳しい状況」であると話され、特に、ウクライナ紛争と比較しても、短期間できわめて多くのガザの一般住民が犠牲になっていると指摘されました。また、ニュースでは「停戦」という言葉が使われますが、実際にはその後も犠牲者が増え続けているグレーな状態であり、事態の収束には程遠いことを強調されました。

次に、「現地の視点」から、最大の悲劇は、人々のつながり、つまり、現地のコミュニティそのものの破壊であると強調されました。ハマスについても、「テロ組織」と一面的に見られがちですが、現地では福祉団体としての側面もあり、住民との関係は複雑であると解説されました。また、パレスチナ人のアイデンティティについて、ガザの住民は自らを「ガザ人」ではなく「パレスチナ人」と強く認識しており、この問題は常にパレスチナ全体の歴史と地続きであると述べられました。さらに、パレスチナ問題が「世界最長の国際紛争」であり、それゆえ、いまだに多くのパレスチナ人が故郷に帰還できていないことに言及されました。
最後に、北澤教授は、ご自身が専門とされてきた地域研究について、その重要性は、大国中心の国際関係論では「例外」として扱われがちな事象を、現地に寄り添って正確に記述し、新たな理論枠組みを構築することにあると締めくくられました。
解説講義の後、参加者を代表して、河原地英武教授から、「日々の研究で明らかになるのは、人間の残酷さであり、研究者はそれを解決することはできないが、その無力感にどう向き合うべきか」との質問がありました。この質問に対し、北澤教授からは、「紛争という極限状態の中でも、現地の人々には日常の営みや知恵があり、そこから研究者が励まされることもある」との返答がありました。


今回、北澤教授は、ローカルな視点、つまり、パレスチナ人の視点から、ガザ情勢について解説されました。国際関係論では、やはり主権国家に焦点が置かれがちですが、今回の最終講義は、紛争に巻き込まれる人々の視点に立ったお話でした。北澤先生、国際関係学科・国際関係学部での32年間にわたるお勤め、お疲れさまでした!
北澤先生のニュース解説記事「ガザ再生にむけて」(2025.11.17)については、こちら。