京都産業大学は2026年4月1日付で、世界的に著名な天文学者である渡部 潤一(わたなべ じゅんいち)氏を「神山宇宙科学研究所」所長としてお迎えします。神山宇宙科学研究所には、河北 秀世 教授(理学部/現・神山宇宙科学研究所長、Comet Interceptor計画JAXAサイエンスリード)をはじめ、樋口 有理可 准教授(理学部)、猿楽 祐樹 主任研究員(神山宇宙科学研究所)、新中 善晴 専門員(研究機構)、小林 仁美 客員研究員(神山宇宙科学研究所)、辻本 倖さん(理学研究科・博士前期課程1年次)など、多くの彗星研究者が所属しています。観測・理論・探査連携が一体となった研究体制を築いており、渡部氏の就任により、渡部氏と河北氏という彗星研究を牽引する研究者が揃うことで体制はいっそう強化されます。
今後、渡部氏のリーダーシップのもと、研究成果の発信とともに、子どもから大人まで幅広い層に彗星研究や宇宙・天文学の魅力を伝える講演会やアウトリーチ活動を積極的に展開していきます。京都・神山の地から、宇宙科学をより身近に、より深く体験できる機会を創出していくことで、「彗星研究の京都産業大学」としても、国内外における研究・教育の存在感をさらに高めていくことを目指します。
渡部氏コメント
天文学者である荒木俊馬 博士が創立したという世界的にも希有な京都産業大学で、天文学の研究教育そして広報普及活動に携われることを心より嬉しく思い、わくわくしております。ここに集う仲間、そして学生たちと共に、京都・神山の地から新しい風を吹かせたいと思いますので、ぜひご期待ください。

2015年3月10日に撮影されたC/2014 Q2 (Lovejoy) 彗星(画像提供:Michael Jaeger)
渡部 潤一氏について

京都産業大学 特別客員教授・神山宇宙科学研究所長(2026年4月1日就任予定)
渡部氏は太陽系天文学の第一人者として、彗星・流星・小惑星などの観測研究を長年にわたり牽引してきました。これまでに国立天文台副台長を歴任し、国際天文学連合(IAU)では惑星定義委員会委員および副会長を務めるなど、国際的にも重要な役割を担ってきました。冥王星の惑星からの除外決定に関与するなど、天文学史に残る重要な役割を果たしてきたことでも知られます。また、一般向け著作や図鑑の監修などを通じて、日本の天文学普及にも大きく貢献されています。
〈プロフィール〉
- 専門分野:太陽系天文学(彗星、流星、小惑星などの観測的研究)
- 学歴:東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科博士課程中退、理学博士
- 主な経歴:自然科学研究機構国立天文台副台長、国際天文学連合副会長、NHK中央番組審議会委員長、メディア出演多数
- 主な著書・監修:「賢治と「星」を見る」「なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか」「講談社動く図鑑MOVE 星と星座」「小学館NEO 星と星座」ほか多数
神山宇宙科学研究所について
神山宇宙科学研究所は、宇宙科学に関する4つの部門からなる研究所として、2023年10月に設立しました。本研究所では、神山天文台の荒木望遠鏡による観測に加え、すばる望遠鏡やケック望遠鏡など世界最大級の望遠鏡で得られるデータも活用し、幅広い分野の観測研究を推進しています。研究対象は、彗星・小惑星などの太陽系天体から、恒星、銀河、星間空間、ブラックホール、暗黒物質(ダークマター)に至るまで多岐にわたり、観測・理論・データ解析を統合した研究を展開しています。
また、望遠鏡や超小型衛星に搭載する赤外線高分散分光器の開発にも注力しており、高性能な近赤外線高分散分光器「WINERED」の開発・運用を進めるとともに、海外望遠鏡での観測運用を通じて成果を創出してきました。さらに、次世代赤外線高分散分光器「GARNET」の開発にも取り組んでいます。
加えて、多くの所員がJAXA・ESA・NASA等と連携した太陽系探査にも参画しています。これまでに、彗星探査計画「Deep Impact(ディープ・インパクト)」(NASA)におけるテンペル第1彗星衝突実験の地上同時観測や、「EPOXI(エポキシ)」(NASA)のハートレー第2彗星フライバイ探査に伴う地上観測キャンペーンへの参加、月探査機「LCROSS」(NASA)の月面衝突時の地上同時観測などに携わってきました。さらに、超小型探査機プロキオン(東京大学など)や、小惑星探査機「はやぶさ2」(JAXA)に関連した彗星観測にも取り組んできました。また、金星探査機「あかつき」(JAXA)やVenus Express(ESA)、木星探査機、火星探査機等で得られたデータを用いた研究も進めています。
現在は、彗星探査ミッション「Comet Interceptor」(ESA・JAXA)において、JAXAが提供する小型探査機による観測を含む国際協力の枠組みのもと研究に参画し、河北秀世教授が日本側のサイエンスリードを担っています。また、深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」(JAXA)に関連して、探査天体であるふたご座流星群の母天体 (3200) フェートンの探査前の地上観測のサポートなどを通じて、探査を支える研究活動にも取り組んでいます。さらに、次世代の小天体探査に向けた検討・準備段階の研究にも参画し、現在および将来の宇宙探査に資する取り組みを進めています。
このほか宇宙ビジネスの推進などにも取り組み、宇宙科学の最前線を切り拓く研究拠点として、国内外の研究機関と連携しながら研究と人材育成を推進しています。