11月5日、宇宙物理・気象学科では、「海外挑戦」と「宇宙研究」をテーマとした談話会を開催しました。これに先立ち、ランチタイムにはピザパーティーを実施し、学部生・大学院生・教員の間で活発な交流が行われました。


ピザパーティーで談笑する参加者
今回の談話会では、本学科研究員の 井上 拓也 さんが登壇しました。講演タイトルは「私立大学工学系出身の私が宇宙論研究者になるまで」。海外挑戦や大学院からの分野転向、そして博士号取得から現在の研究職に至るまでのユニークな歩みについて語る「長めの自己紹介」と、現在取り組んでいる研究の紹介が行われました。
幼少期に宇宙物理学へ憧れを抱いていた井上さんは、やがて興味の中心が宇宙開発やものづくりへと移り、大学では機械工学を専攻しました。学部から修士課程にかけてはダブルディグリー制度や研究インターンシップを活用し、フランス、ドイツでの長期の海外滞在を経験。インターンシップ先であるドイツのマックスプランク天体物理学研究所では、宇宙論分野の第一人者であり元本学教授の 二間瀬 敏史 先生の東北大学時代の教え子でもある、小松 英一郎 所長のもと、初めて宇宙論研究に触れました。この経験をきっかけに、幼少期からの夢であった宇宙論研究へ進むことを決意したといいます。
工学系で修士課程を修了後、ドイツ滞在時に出会った台湾 中央研究院 天文及天文物理研究所の奥村 哲平 教授に師事するため台湾大学の博士課程へ進学。基礎物理学諸分野の高度な学力が試される博士候補者資格審査という大きな関門を突破し、宇宙論分野で研究成果を重ね、今年2月に博士号を取得しました。
その後、京都大学基礎物理学研究所での研究員を経て、7月より本学で研究を開始。講演の後半では、小松所長と取り組んだ「赤方偏移ドリフト」の研究、そして、現在進めている「重力赤方偏移効果」の研究を取り上げ、アインシュタインの一般相対論およびそれを超える重力理論の可能性にどのように迫っていくのか解説しました。

講演する井上さん
講演では、海外に挑戦するにあたり井上さんがどのように語学を学んだのか、また経済面での準備としてどのような留学支援制度を利用できるのかといった具体的な紹介もありました。理学部でもグローバル・サイエンス・コースなどを通じて短期海外研修の機会を提供していますが、講演後には「海外で一人で過ごすことに不安はなかったか」、「言語面で困ることはなかったか」など、多くの学生から質問が寄せられ、活気ある交流の場となりました。
理学部では、学内教員や研究実績のある研究者、繋がりのある実務分野で活躍する人物を招聘し、定期的に談話会(講演会)を行っています。これにより、理学の最先端の研究内容に触れ、社会とのつながりや広がりを知る機会を提供しています。この談話会は、学生の学習意欲の向上、教員の研究意欲や質の向上にも寄与しています。参加対象は学生、教員、だけではなく、一般の方々も含まれます。