
学部の授業以外にも活躍の場を求めて積極的に取り組む学生を紹介する本企画。今回は、「難民問題の開発と人道の連携」をテーマにウガンダを訪問し研究を続けている、国際関係学部4年次の長岡佳希さんにお話を聞きました。
1.「国際関係」に興味を持ったきっかけを教えてください。
大学受験の際、進学先を決めるにあたって、将来つきたい職業は一体なんなのだろうかと考えました。英語学習が好きなこともあって、海外で仕事をしたいと考えており、言語だけでなく大学で培った知識を持って実践の場で応用したいといった思いが強かったです。その際にテレビで放映されていた戦争、貧困や自然災害など多様な理由により国境を追われる人たちに対し人道支援を行うUNをはじめとする活動に関心が湧き、ぜひ国際関係学部に入学し国際組織や難民問題について学びたいと思ったのがきっかけです。
2.今、注力している取り組みは何ですか?
難民問題解決に向け、政府や国連をはじめとする多様なアクターが連携していかに支援を行なっているのか明確にすることです。多様なアクターの参加は、その難民問題により迫られる負担を軽減させる一方で、異なるマンデートをもとにアクター間での連携を困難にするとともに、その枠組みに入れられていない地方組織との連携をいかに実践させていけるのか問題解決を行なっていく上で重要であるからです。特に開発と人道の連携では、国連難民高等弁務官事務所が開発アクターや政府との連携・移行を行う役割を担っているために、人道支援だけではなく、難民受け入れホストやその国民との統合を目的とした支援体制が必要とされています。また多くの難民者との対話を通じ、その過程で失われてしまった難民者たちの声の反映にも着目し、どう当事者性を持った難民支援を行なっていくことができるのか検討しています。




3.その取り組みに参加(応募)したきっかけ・動機を教えてください。
チャレンジしたことは、大きく2つあります。1つ目は、現在取り組んでいる卒業論文において、どういった支援が難民問題に向けられているのか、活動が行われている最前線を訪れ実際の支援体制、連携や課題を把握することです。加えて、実際に難民の方々とコミュニケーションを図ることで、支援する側と支援されている側が直面する状況を明確にし、難民問題への支援がいかに効果的なものかを確認するためです。2つ目は、将来難民問題に関して国際協力に関わる職業に就きたいと考えているために、この渡航が本当に自分のやりたいことであるのかを再度明確にするためです。難民との対話や現地で活動するアクターとの交流に加え、初めての途上国への渡航が私自身に将来の選択を考え直すきっかけをくれるのではと期待し、参加しました。



4.参加して、ご自身にとってプラス(成長)につながったこと、気づきは?
普段は書籍、論文やニュースなどを中心に繰り広げられる議論に知識を深める活動ばかりをしていますが、実際の現場で見て、聞き、話し感じることで、情報や問題に関わる当事者性に乖離があることがわかりました。だからこそ、この活きた経験が今後取り組んでいく学習だけでなく、私自身が将来本当に携わりたいものであるのか再確認する貴重な機会になりました。初めての途上国への渡航経験であり、フィールドワークを進める中で、アポイントメントや難民定住区への許可には政府からの認定が必要であったために、予想以上に取得に日にちがかかるなどうまくいかないこともありました。ただ現地での大学やNGOへの訪問など、常に自ら積極的に行動することで快く受け入れてくださる場所も多く、興味や関心が湧いた場所や機関などへは必ず出向き情報を収集することができました。

5.国際問題を考えるうえで、普段から心がけていることはなんですか?
「考えて調べる力」をつけていくことです。国際問題は多種多様であり、一つの視点だけでは決して読み解くことができないと考えています。その際に自分で疑問を持ったことに対して、「なんで?」、と常に問い続けることが重要だと考えています。また獲得する知識のほとんどに満足し納得してしまえる近頃、これは本当に正しいものなのか、誰に対する支援や政策であるのか、再度、評価されているものに対して疑いを持ち続けることが重要であると考えています。


6.今の活動をとおして、今後の抱負、また将来に繋がること・繋げたいことは?
今回の活動を踏まえ、大学院に進学し、現場での活動や声に焦点をあてながら研究を進めていきたいと考えています。将来、現場レベルで活動することを希望しているので、最前線の状況、課題と支援との乖離を明確にし、どれだけそのギャップを埋めていくことができるのかが重要であると考えています。もちろんデスクワークは必須ですが、今回の活動を通して一層そのギャップを埋めることがいかに難しいのかを認識したために、一概に書籍や論文だけを当てにせず、現場での状況を把握していく必要性があるなと考えました。


7.国際関係を学ぶ学生(興味を持っている高校生)のみなさんへ一言
国際関係と聞くと少し複雑で、一体どんな問題を取り上げていくのか、その多様性を想像することが難しいと思います。ただその関心分野、環境、戦争、貧困や安全保障問題だけにとらわれず、ビジネス、経営やジェンダー問題をも広く網羅しているために、思い切ってジャンプしてみるにはものすごく知識と好奇心がそそられる良い学部であると考えています。難しそうに聞こえるかもしれませんが、問題の背景に気づくことで、その面白さに気づける良い機会であると思うので、ぜひ国際関係学部への入学をお勧めします!

