「町家 学びテラス・西陣」では、大学生から社会人まで幅広い世代がともに学び、地域とつながり、地域との関わりや事業づくり、多様な生き方や暮らし方、働き方の選択肢を増やすことを目的とした学びの場「町家オープンカレッジ(略:MOC)」を定期的に開催しています。
今回のMOC22では「集まる場とつながりが続く仕掛け」をテーマに、場をつくることの魅力や大変さ、世の中にある仕組みの活用について考える時間となりました。
当日は「しまんと新聞ばっぐを知ってる人〜?」という呼びかけからゲストトークがスタート。最近横浜から京都に移住された高村氏は、しまんと新聞ばっぐの上級インストラクターとしてこれまでどのような場をつくってきたかとともに、京都産業大学を卒業後、地元に戻ってテレビ高知に入社、その後も様々な形でメディア関係の仕事に従事し、2021年からは個人事業主として地域と関わる活動もされていることなどをご紹介いただきました。しまんと新聞ばっぐは、たまたま地元で見つけたのがきっかけで、仲間がいたこととコンテストなど定期的に発表の場があることが続けられている理由だと話してくださいました。
続いて、シェア型書店 HONBAKO京都宇治代表の山本氏。宇治市のパンフレットを参加者全員で見ながら、お店の位置を確認。立地がよい、という声があがりました。山本氏は大阪出身、IT企業、ウェディング、行政書士事務所、Web広告、食育まで多様な業種を経験し、HONBAKOの仕組みの中で、それらを活かしているという話をしてくださいました。予期しない転居で宇治に移住して1年、地域の集まりに顔を出しながらHONBAKOをやりたいということをあちこちで口にして、その願いを叶えてきたそうです。InstagramをはじめとするSNSの発信にも力を入れ、本を読む人が集まる場所は地域の資産になると信じて活動されていることが伝わってきました。

トークセッションでは、「実際にプロジェクトに取り組んでみての苦労や課題」についてお聞きし、まずは企画したらやってみることが大事だと高村氏。しまんと新聞ばっぐのワークショップでも、もし参加者がいなければ自分たちで勉強会としてやればよいというような心持ちで取り組んでいたそうです。山本氏からは、HONBAKO京都宇治オープンから半年で本箱が埋まっているという嬉しさの一方で、現在の営業日や営業時間には来られない方に対して申し訳なさもあり、対策を考えているというお話がありました。
また、人をまきこむ、人とつながるうえで気をつけていることについては、「人には合う合わないがあることを理解する」や「とにかく対話が大事。その人がどういう方向を見て生きていらっしゃるかを理解できるように」など、お二人の人に対する真摯な姿勢を感じました。

参加者の方々は、人が集まる場を始めようとしている人、すでに何かを始めている人、続け方で悩んでいる人など様々で、お二人の熱量に圧倒されながらも、熱心にメモを取りながら聞いている学生の姿も見られました。
最後にお二人から「参加者へのメッセージ」をいただきました。ご自身の大切にしている言葉を書いてきてくださった山本氏は「優秀な人であってください」と。優秀とは「優しさに秀でる」と読み、優秀な人は人も自分も大切にでき、芯のある強さを持つ。自分自身に対する宣言でもありますと、気持ちを噛みしめながら話してくださいました。高村氏からは「今あるご縁を使い倒してください」と、今すでにある関係性や興味関心から始まることもあるということに気付かされる一言でした。
交流タイムでは「しまんと新聞ばっぐ」製作ワークショップを実施。学生たちが真っ先に参加し、ゲストの山本氏も混ざりながら人の輪が広がっていました。参加者同士も世代を超えて、さまざまな話で盛り上がっていました。誰でも参加できる企画だからこそ、そこには真摯な姿勢で人と人をつなぐ存在が不可欠であることを改めて学んだ時間でした。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
