
2025年10月21日(火)、国際関係学部・井口正彦ゼミでは、国連開発計画(UNDP)での豊富な実務経験を持つ槌谷 恒孝氏(現・神奈川大学、JICA緒方貞子平和開発研究所所属)をお招きし、プロジェクト立案ワークショップを開催しました。
槌谷氏はこれまで、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、イエメンなどで10年以上にわたり、開発・平和構築の現場に携わってこられた国際協力の専門家です。
今回のワークショップでは、「国連職員と同じ手法でプロジェクトを立案し、国連経験者から評価を受ける」という実践的なテーマのもと、ゼミ生たちがプロジェクトを企画・発表しました。設定は、コンゴ民主共和国に赴任した新米国連職員が、持続可能な開発に関するプロジェクトを立案し、現地での採択を目指すというシナリオです。
ゼミ生たちは、過去の国連やJICAのプロジェクトを参考に、関係者分析や問題分析を行い、以下の3チームに分かれてプロジェクトを立案しました。

各プロジェクト概要
プロジェクト1:「学びで掘り起こす未来 – From Mines to Mind -」
児童労働が深刻な問題となっているルアラバ州を対象に、児童労働に依存しない持続可能な地域社会の実現を目指す。安全な労働環境の整備と、子どもたちの教育の権利保障を通じて、資源の呪いからの脱却を図る。
プロジェクト2:「Kolweziのおいしい水プロジェクト」
無計画な鉱山開発による坑排水が健康被害を引き起こしているコルウェジ地域において、安全な飲料水の確保を通じて住民の健康を守る。鉱山開発の計画化と廃水処理インフラの整備により、水質の改善を目指す。
プロジェクト3:「Maïlû project」(リンガラ語で「明日」の意)
東部地域での武力衝突により増加する国内避難民に対し、生活基盤の再建を支援。スキル習得支援と就業機会の提供を通じて、避難民の自立とエンパワメントを促進する。
ワークショップの最後には、槌谷氏より以下のような講評をいただきました。
「まだ粗削りな部分もありますが、各チームが実際のプロジェクトを丁寧に分析し、現実に即した柔軟な発想で取り組んだ点が素晴らしかった。中には現地でそのまま活用できる可能性を秘めた提案もありました。条件付きではありますが、すべてのプロジェクトを採択したいと思います。」

また、ゼミ生からは次のような感想も寄せられました。
「これまでの大学生活で最も時間をかけて準備した経験でした。どんな質問にも答えられるように細部まで詰めた甲斐がありました。90分が一瞬に感じるほど刺激的で、このワークショップに参加できて本当に良かったです。」
今後も井口ゼミでは、「持続可能な社会の構築」をテーマに、高い理想と現実的な視点を併せ持ち実践的な学びを一層深めていく予定です。