2025年10月8日(水)に「数理科学科 学生向け談話会」を開催しました。
今回は名古屋大学名誉教授の大沢 健夫 氏を招き、「岡 潔の数学に魅せられた人々」という題目でご講演いただきました。岡 潔 氏(1901-1978)は多変数複素関数論において当時難問とされた未解決問題を次々と解決した日本を代表する数学者です。また、1969年からは本学教授として「日本民族」の講義を担当されました。

講演は岡氏の経歴紹介から始まり、岡氏の専門である複素関数論の発展の歴史を解説いただきました。20世紀初頭、ハルトークス、レヴィ、カルタン等の数学者らが多変数複素関数論を精力的に研究し、次々と難解な問題が提起される中、岡氏はパリ留学(1929-1932)でこれらの問題に出会い、生涯を通じてそれらの解決に尽力されました。
大沢先生は、岡氏が長年の研究生活で編み出した理論に魅せられた後続の数学者たちに焦点を当て、岡氏との交流の様子を現存する記録や写真を交えながら丁寧にお話しくださいました。また講演の後半で大沢先生は、岡氏の代表的な著書の一つである『紫の火花』の中に記された「解けなかった2題」について紹介され、その研究の現状について解説されました。
今回の談話会は対面で開催しましたが、大勢の学生、教員の参加があり盛況のうちに終了しました。今回の談話会により学生のさらなる学習、研究意欲の向上に繋がれば嬉しく思います。
理学部では、学内教員や研究実績のある研究者、繋がりのある実務分野で活躍する人物を招聘し、定期的に談話会(講演会)を行っています。これにより、理学の最先端の研究内容に触れ、社会とのつながりや広がりを知る機会を提供しています。この談話会は、学生の学習意欲の向上、教員の研究意欲や質の向上にも寄与しています。参加対象は学生、教員、だけではなく、一般の方々も含まれます。