「国際キャリア開発リサーチB:マレーシア」(以下、国際CDR-B)は、マレーシア北西部の異文化社会における共生の在り方や、環境NGOの取り組みを現場で学ぶことを通じて、受講生自身が「多文化共生における距離感」「環境問題の現実」「異なる立場との対話の大切さ」などについて深く理解することを目的としています。
2025年度夏季の本授業には、国際関係学部から17名の学生が参加しました。学生たちは、事前授業を通じてマレーシアの環境・社会問題、リスク管理、フィールドワークで関わるNGOの活動などについて学び、8月20日から9月2日までの現地実習に臨みました。
現地実習では、ペナン州の世界遺産都市ジョージタウンにおける文化調査、農村でのホームステイ、ペラ州の森林地域における環境研修、再びジョージタウンに戻ってのまとめ学習と、4つのステージに分けて活動を展開しました。
(国際関係学部 2年次 竹内 颯弥 )
ジョージタウンでの文化学習(ペナン州)
渡航後最初の3日間は、ペナン島にあるジョージタウン市内に滞在し、多民族・多宗教が共存する社会の成り立ちや、歴史的建造物の保存活動について学習しました。現地の文化遺産保護団体であるPenang Heritage Trust(PHT)の代表・クレメント氏から、異なる文化が「適度な距離を保ちながら共存する」というマレーシア独自の共生観について伺う機会があり、学生たちは「共生=混ざり合う」だけではないという新たな視点に気づかされました。

また、CAP(Consumers’ Association of Penang)や、人工島建設に反対する漁業者組合への訪問を通じて、開発と環境、生活との関係について現地の声を直接聞くことで、複雑な社会構造を肌で感じることができました。
スンガイアチェでのホームステイ体験(ペナン州本土部)
ジョージタウンでの学習後は、マレーシア本土部に位置する農村スンガイアチェで3日間のホームステイを行いました。学生たちは、それぞれ異なる家庭に受け入れられ、現地の暮らしや家庭文化を体験。言語の壁を超えて、料理や日常の交流を通じた温かな関係を築きました。

滞在中には、マレーシア科学大学(USM)の学生との文化交流やディスカッションも実施し、民族衣装、伝統舞踊、ボードゲームなどの体験を通じて、相互理解を深めました。また、PIFWAおよびその女性グループPIFWANITAによるマングローブ林の保全活動にも参加。現場見学と意見交換を通じて、環境保護の重要性とNGO運営の難しさを実感しました。
