理学部 安藤 紘基 准教授 文部科学大臣表彰受賞記念シンポジウム 「金星のことなら京産大/理学部」を開催しました
2025年7月26日(土)、キャンパスプラザ京都にて、安藤紘基 准教授 文部科学大臣表彰受賞記念シンポジウム「金星のことなら京産大/理学部」を開催しました。
本シンポジウムは、安藤紘基 准教授(理学部・神山宇宙科学研究所所属)が、文部科学省より発表された「令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「電波掩蔽法と数値モデルを用いた金星大気の研究」の業績により「若手科学者賞」を受賞したことを記念して開催されたもので、当日は約70名の参加がありました。
会場の様子
在間学長による開会あいさつ
第1部 基調講演
第1部では、金星探査機「あかつき」の開発・運用責任者である中村正人 氏(JAXA名誉教授)がオンラインにて登壇。「あかつき」の軌道投入失敗からのリカバリーや、スラスターの工夫による軌道再投入、さらに現在も続く観測成果について、技術的側面とともに現場での苦労や判断を交えながら講演が行われました。
続いて安藤紘基 准教授が登壇し、自身の専門である金星高層大気における温度変動の研究成果について紹介しました。電波掩蔽観測と数値シミュレーションを組み合わせた手法を用い、金星夜側における極端な冷却現象や、上層大気に見られる縞模様状の波動構造の形成メカニズムに迫る最先端の研究内容が紹介されました。
オンラインで講演する中村正人氏
安藤准教授の講演の様子
第2部 金星なんでも質問教室
第2部では、まず神山天文台長であり惑星観測を専門とする佐川英夫 教授より、太陽系内の他惑星との比較を通して金星の特徴を解説する講演が行われました。
その後、佐川教授、中村氏、安藤准教授に加え、惑星大気の数値モデリングを専門とする高木征弘 教授(理学部・神山宇宙科学研究所)が登壇。神山宇宙科学研究所長である河北秀世 教授(理学部)がコーディネーターを務め、参加者との質疑応答が活発に行われました。
質疑応答では、「スーパーローテーションを初めて捉えたアマチュア観測の詳細」「金星大気中でのスーパーローテーションの発生メカニズム」「地球大気から二酸化炭素が減少した理由」などの質問が寄せられ、登壇者がそれぞれの専門的立場から丁寧に回答しました。金星大気の謎や観測技術の進展、さらには今後の探査への期待など、多岐にわたる議論が繰り広げられ、講演終了後も講師への個別質問が続くなど、会場は熱気に包まれていました。
佐川教授の説明の様子
金星なんでも質問コーナーの様子
参加者からの質問に回答する安藤准教授
参加者からの質問に回答する髙木教授
牛瀧理学部長の閉会あいさつ
参加者の声・今後の展望
参加者からは、「金星や金星探査について改めて知ることができた」「大気が惑星ごとに大きく異なることが興味深かった」「今後大事にしたい考え方を知れて励みになりました」「宇宙に対する興味が大きくなりました」「研究者の生の声でご自身の研究内容についてお伺いできる大変貴重な機会でした」「金星の連続講座を行っていただきたい」など、多くの感想が寄せられました。
本学では、理学部および神山宇宙科学研究所を中心に、今回のようなシンポジウムや講演会、さらに神山天文台での天体観望会などを通じて、宇宙科学への理解と関心を広げるとともに、次世代の研究者育成に引き続き貢献してまいります。