2024(令和6)年12月14日(土)社会安全・警察学研究所で、第7回児童福祉法制研究会が開催されました。
この研究会は、児童虐待対策を中心に児童福祉法制の全体について、法学の多様な分野から多角的に検討するとともに、児童福祉や警察の現場との対話を目指すものです。
今回は、2025(令和7)年、7月に施行が迫った、児童相談所による一時保護時の司法審査を取りあげました。行政法等の研究者と児童相談所の実務家、あわせて約30名が参加しました(対面8名、オンライン20名余)。
まず、こども家庭庁「一時保護時の司法審査に関する実務家作業チーム」の委員として「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル」の作成に参画された浜田真樹弁護士に、「一時保護の司法審査――実際の運用に向けて――」と題して、ご報告いただきました。ご報告では、司法審査が導入された経緯や児童福祉法で定める請求手続を確認してから、新たに内閣府令で明確化されることになった一時保護の各要件について詳細な説明があり、さらに、一時保護状請求の有無を左右する親の同意の確認方法や、請求の際に必要な書面、請求手続にあたっての児童相談所の事務負担の問題など、制度全体の意義から実務上の運用の問題点に至るまで、分かりやすく概観していただきました。一時保護にあたって、親の同意のみならず、子どもの意見を把握して裁判官に伝達することの重要性が指摘されました。
浜田弁護士の報告の後で、司法審査の試行運用に参加された3つの児童相談所から、試行運用の内容や感想、運用上の懸念、裁判所との協議の現況、裁判官の審査の手続や審査時の理由づけの程度など、幅広くコメントをしていただきました。報告・コメントを受けた後のディスカッションでは、主に行政法の研究者から、制度そのものの意義、法律の条文の読み方、児童相談所の一時保護の運用に対する影響、家庭裁判所以外の裁判官が一時保護の審査をすることの合理性など、多様な議論が展開されました。制度導入の直前というホットなタイミングで行われたこともあり、多くの問題点が深く検討されましたが、それでもまだ論じるべき点は多く残されています。

