
2023年3月に本学を卒業し、産経新聞社に入社、サンケイスポーツで阪神タイガース担当記者として活躍する中屋 友那(なかや・ゆうな)さんにお話を伺いました。新人記者として18年ぶりのリーグ優勝に立ち会うという幸運に恵まれた中屋さん。しかし、それまでは挫折や悩みも多くあったそうです。そんな中屋さんに、大学時代のお話や仕事との向き合い方についてアドバイスいただきました。
なぜ記者になろうと思ったのですか?

僕は高知県出身で、小学生の時に野球を始めました。親元を離れ、野球が強いと有名な中高一貫の高知中学高等学校へ進学。中学時代はU15アジア選手権の日本代表にも選ばれましたが、高校1年生で肩を故障。高校3年生で春の甲子園に出場し、ピッチャーとしてマウンドに立てたものの、5回8失点という散々な結果に終わりました。僕にとっては苦い思い出です。

大学入学後、硬式野球部に入部しましたが、プロの道に進める才能はないと感じ、諦めました。一方で、野球に関わっていたいという気持ちはあったため、プレーヤーとしてではなく、別の形で関われる方法はないかと模索していました。

そんな中で直接的なきっかけとなったのが、大学3年次の時に参加したインターンシップでした。貿易、商社、メーカーなど多くの企業のインターンシップに参加しましたが、いずれもピンときませんでした。しかし、とある新聞社でのインターンシップに参加した際、スポーツ記者の話が興味深く、「こんなふうになりたい」「自分で取材をして記事を書くという仕事なら、責任感を持って仕事ができる」と感じスポーツ記者を目指しました。
大学時代の経験は、今どう生きていますか?
本学の国際関係学部では海外の方と関わる機会が多くあり、学生時代に日本と他国の違いについて学び、考え方や文化の違いを受け入れられるようになりました。そのため、仕事をしていく中で、例えば周囲の記者が自分の考えとは違った視点から選手に質問していても、そこから得られるヒントもあるな、と捉えられるようになりました。

国際経済や国際政治について学び、課題を深く突き詰めるゼミも、厳しいながらも楽しかったです。おかげで、思考力やプレゼンテーション力が鍛えられました。そういった大学時代の学びが、今の僕の土台を作っています。
記者として気を付けていることは何ですか?
読者と選手の気持ち、双方に寄り添うことです。僕は野球経験者のため、選手の素晴らしいプレーについてじっくり解説したくなりますが、読者は野球の試合そのものを楽しんでいます。技術的な解説に偏りすぎず、チームが勝った喜びや負けた悔しさを読者が共有できる記事を心掛けています。特定の球団の良い面ばかり書く記事もありますが、それでは単なる球団の広報になってしまうので、客観性も大事にしています。

チームが負けた日の記事や、選手が失敗した記事を書かなければならないときもあります。選手にとって嫌なことでも、読者のために事実はきちんと書くべきです。しかし同時に、うまくいかない背景や、選手が頑張ってきたことにも目が向くような記事を書きたいです。自分が野球をやってきたからこそ、スランプの焦りや、抜け出すための努力も想像できるからです。

阪神タイガースは毎日4万2千人以上のファンで球場が埋まる熱い球団。そんなファンの方に「この話、良かったな」と思ってもらえる記事を書きたいです。またそういう責任感を感じられることがこの仕事の面白さです。読者の「記憶に残る記事」を目指して、書き続けていきたいと考えています。
2023年9月14日、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝を果たしましたね!記者としての感想を教えてください。

優勝翌日の記事は、11面仕立てで阪神タイガース特集を組みました。優勝前から選手たちの事前取材に走り、シーズンを振り返って「成績を残した裏には、こんな思いや努力があった」という記事を作り上げました。毎日の記事もスポーツ面の8面のうちの3面は阪神タイガース情報で埋まります。その合間を縫って書き上げるハードな日々でしたが、1年目で怒涛の日々をこなしていったことは自分にとって大きな経験となりました。
今後、注目の選手はいますか?

クライマックスシリーズに向けての見どころは?
在学生の皆さんへコメントをお願いします!

Writer ー取材をした人

