現代社会学研究科 教育課程の編成の考え方

本研究科は、Society 5.0、データ駆動型社会及び国連が提唱するSDGsの実現を推進するこれからの社会に必要となる「多様な他者と協働しながらエビデンスに基づく社会課題の解決策を考案するために、複雑な社会のあり方に関心を持ち、社会学理論と社会調査法の高度な知識を活用できる人材」を養成することを教育目的とする。

かかる人材に求められる専門知識・技術・態度・志向性を明らかにしたものが、学位授与の方針で示す「専門の基盤の核となる知識」「専門の基盤となる知識・能力・志向性」「専門を応用する知識」「専門を研究する能力」である。

この教育目的及び学位授与の方針を達成するために、本研究科の教育課程には、学位授与の方針で示す4つの能力等に対応して、4つの科目区分を設ける。すなわち、学位授与の方針の4つの能力等のうち、「専門の基盤の核となる知識」に対応するものとして「研究基盤科目Ⅰ」、「専門の基盤となる知識・能力・志向性」に対応するものとして「研究基盤科目Ⅱ」、「専門を応用する知識」に対応するものとして「研究テーマ科目」、「専門を研究する能力」に対応するものとして「研究指導科目」を設ける。なお、「研究基盤科目Ⅱ」には、目的に応じて,「社会学理論科目群」「社会調査法科目群」「協働科目群」の3つの科目群を設ける。これら4つの科目区分及び3つの科目群には、次の考え方により科目が配置される。

「研究基盤科目Ⅰ」に含まれる科目は、社会学の多様な領域を学ぶにあたって前提となる、社会学の核となる専門知識を修得させる科目である。これらの科目は、Society 5.0、データ駆動型社会、SDGsの実現を推進する現代社会を考慮しつつ、現代社会において生起する諸課題について研究を行うための中核的な知識を涵養するための科目である。すなわち、現代までの社会学理論をたどりつつ、複雑な社会課題を多数抱える現代社会の特質を理論的側面から把握し、持続可能な社会が求められるその背景と重要性を学ぶ科目、そして、デジタル技術に支えられる新たな社会において、エビデンスに基づき社会課題の解決策を考案していくために必要となるデータ分析の高度な知識について学ぶ科目が配置される。

次に、「研究基盤科目Ⅱ」には、「研究基盤科目Ⅰ」を受け、現代社会の研究に必要な能力をより掘り下げて修得するための科目が配置される。すなわち「社会学理論科目群」には、社会を理論的に捉える知識をより深めるための科目が配置される。「社会調査法科目群」には、エビデンスに基づき社会課題の解決策を考案するために必要な、データ分析の高度な知識・能力を修得するための科目が配置される。「協働科目群」には、複雑な社会課題の解決に向けて多様な他者と協働するために必要となる志向性を修得するための科目が配置される。

さらに「研究テーマ科目」においては、学生が自身の研究テーマや問題意識に応じて関心のある分野を選択し、個別テーマに対する深い専門知識と関連領域の幅広い知識を涵養するための科目が配置される。

また、「研究指導科目」においては、修士論文または特定課題研究報告書の作成を通して、エビデンスに基づく社会課題の解決策の考案につながる研究力を涵養する科目が配置される。

以上の4つの科目区分のうち、「研究基盤科目Ⅰ」「研究基盤科目Ⅱ」「研究テーマ科目」がコースワークとなり、「研究指導科目」がリサーチワークとなる。

この教育課程は、科目区分及び科目群に従って進む順次的・体系的なコースワークと、きめ細かな研究指導の下で展開されるリサーチワークとが、それぞれの機能を明確にしながらも一体のものとして構成されており、本研究科で学修する学生は、社会学理論や社会調査法の高度な知識の修得はもとより、この高度な知識を社会課題の解決に活用しようとする態度や、実践に必要となる協働性を修得することができる。

なお、本研究科は、現代社会学部現代社会学科を基礎とすることから、当該学科からの進学者が主となることが想定されるが、大学院における高度なリカレント教育への社会的なニーズを踏まえ、在職社会人や在職社会人としての経験を有する者等も受け入れることとしている。特に、在職社会人の受け入れに対応することとして、本学の通常開講曜日の中で、土曜日の1時間目から5時間目を中心に科目を配置することや、個々の学生のニーズに応じてリピート開講をするなど、履修環境について適切かつ柔軟な対応を行う。また、修了要件に関しても、修士論文の審査のみならず、調査・研究による学術的な分析を通じて、現実的な政策提言を立案・提示するものとして、特定課題研究報告書の審査によることを可とする。