Pick up ゼミナール

京都文化学科

伝統工芸と伝統意匠についての研究

成田 智恵子 ゼミ

伝統工芸における社会・産業的実態の解明をテーマに掲げています。一言に「伝統工芸」といっても、「そもそも伝統工芸とは何か」「職人とはどのような人か」「技能と技術は何が異なるのか」など掘り下げるべき点がいくつもあります。なかでもこのゼミでは、研究対象が抱える問題点に着目しながら研究を進めています。

着物や帯の柄、千手観音が手に持っているものについてなど、学生が取り組んでいるテーマはさまざま。単に知識として伝統工芸を理解するだけでなく、直に触れるチャンスを作るためフィールドワークにも力を入れています。寺院に足を運んで仏具や庭を拝見したり、職人と直接コンタクトをとって話を伺ったり。そうして浮かび上がってくる問題点の一つに、人から人への継承問題が挙げられます。また、若手職人が技能を発揮できる場の減少や目利きの減少など、産業全体に関わる新たな問題が垣間見えることも。

自身が職人になること=伝統産業に寄与することではありません。学んだことを生かせば、違う分野からでもサポートすることが可能です。工芸と意匠について学びながら、時代とともに受け継がれてきたものづくりの在り方や文化的背景も一緒に考えていきましょう。

祇園祭の新たな「授与品」を企画・開発

小林 一彦 ゼミ

京都に根づく一流の文化や人に触れ、伝統を五感で学ぶ」をテーマとするゼミナールです。特にメインの活動となっているのは、京都が誇る「祇園祭」への参画です。
これは運営母体である保存会と連携して行う本格的なもので、京都文化を肌で感じながら祭の複雑で高度な運営補助に取り組むことで、課題解決力を磨きます。
また保存会からの依頼を受けて、祇園祭で観光客向けに授与(販売)される「授与品」の企画・開発も実施。ゼミ内で企画開発コンペティションを開催し、チームごとに提案をまとめ、プレゼンテーションを行っています。
学生ならではの視点で、これまでの定番である「ちまき」や「手拭い」とはひと味違う、新しい授与品を生み出すことを目指します。

交流・観光と人類の発展:京都と世界の視座から考えていこう

中野 宏幸 ゼミ

ゼミにおける対話とコミュニケーション
 
京都の姉妹都市プラハ(左)と音楽の都ウィーン(右)のガイドツアーでの語らい
未知の他者や異文化と出会う「旅」における「対話的交流」が本ゼミの主要な研究テーマです。世界各所でみられる出会いやつながりの中で感じる「共感」や「楽しみ」「遊び心」、人・組織・コミュニティという多様なレベルのコミュニケーションに着目しつつ、これからの交流・観光やコミュニティのあり方を考えていきます。

本ゼミでの学びは、京都を核とし、国内外の都市・街との比較研究を基盤とします。食や自然への指向など多様化する「旅」のダイナミズムにも関心を広げ、世界の動きを俯瞰しながら交流・観光とそれを取り巻く現象の変化を人類の発展の視座からとらえていきます。ゼミ活動ではフィールドワークを積極的に行い、地域のアイデンティティや産業・社会との連環、空港や鉄道などの陸海空の交通や都市インフラの機能、移動や情報の技術革新、コミュニティにおける関係者の連携の取組なども学んでいきます。

自らの世界観をもち、事象の背景や意味、事象間のつながりを洞察する視点をもってほしいと思います。弛まぬ進化に向け、時代環境に対する感性を育みつつ、地域と協働した創造的な思考を養うことを目指していきます。

文化や産業、観光から花街を深く知ろう

平竹 耕三 ゼミ

京都の古くからのシンボルである舞妓さんですが、彼女たちが活躍する花街は、舞妓・芸妓、お茶屋などだけでなく、着物をはじめとする伝統産業や日本舞踊の家元など伝統文化に幅広く支えられています。まさに京都の伝統世界の一つの結晶といえます。
このゼミでは、積極的に街に出てフィールドワークを行い、“本物”の文化人や職人などから話を聞き、花街が文化や産業、観光とどうつながり、支え合っているのかを学びます。
本物といわれる作品や仕事に触れていると、自分の中に「なぜこうしたのか」「どうしてこうなったのか」という問いが生まれ、また本物はその答えを持っているものです。
そうした学びの積み重ねで、学生には「問いを生む力」と「問いに挑む力」を身に付け、自らも地域の文化を継承発展させる当事者であるという意識を持ってほしいと思います。

庶民生活文化を京都で考える

村上 忠喜 ゼミ

京都の都心部や近郊農山村を訪ね歩いて「庶民の日常」から京都文化について考えます。学びの軸になるのは民俗学です。ただし、私たちが取り組む「庶民の日常」には明確な資料が多くありません。箸の持ち方や昔の人の歩き方などは、日記などに記されないものです。ですからこのゼミでは、古写真や映像記録、民具や景観など目の前にあるものを読み解くのです。 例えば庶民の願いが込められていたであろう神社の絵馬からどんなメッセージを取り出すか。食文化や家族関係、建物など、学生の興味関心によって見えるものが違ってくるのが面白い。このゼミでは民俗調査を通して、地域や自己を見つめる眼力を養うことを目指します。

京都の歴史を読む・歩く

吉野 秋二 ゼミ

京都の歴史について、文献史学の立場からフィールドワークを交えて考察していくのがゼミの主な活動内容です。学生は最初に少人数のグループに分かれて、フィールドワークの対象となる京都市内や周辺の遺跡、文化財などから調査対象や調査日程を自分たちで主体的に策定します。次に、グループごとに現地での案内となる学生を当番制で決め、当番となった学生はその調査対象に関する史料や文献などを読み解き、独自の資料を作成。その後フィールドワークで実際に現地に赴き、実際の遺跡や文化財そのものを前にして他の学生に自分の意見と根拠を示しながら解説を行います。これら一連の活動を学生が主体的に行うことを通して、文献研究の手法、資料作成のスキル、論理的な思考力などを身につけるとともに、現地調査で得られる「気づき」や「発見」など、現地調査そのものの重要性を理解してほしいと思います。

メッセージ

私のゼミでは、有名な観光スポットではない場所も含めて実際に歩いて調査することで、歴史的事実を点ではなく、つながりのある物語として理解します。専門的に調査研究を行う経験を活かして、広く地域社会に貢献できる力を身につけたいという意欲ある学生を歓迎します。
北野天満宮、平野神社がある北野エリアで現地調査を実施
伝統的建造物群保存地区の上七軒など、まちなみも研究対象となる

幕末維新を生きた人物のリアルを捉える

笹部 昌利 ゼミ

日本近世・近代史、特に幕末維新期の政治・社会を対象とした研究を行っています。幕末維新期の日本で起こった事件や人物の動向を、研究論文や史料をひもといて考察し、さらに現地調査を行うことで、対象を多角的に捉える研究ができるようになることを目指しています。新選組や坂本龍馬といった歴史的に有名な人物もその対象となります。日記や書状を解読して得られる人物像と、小説やドラマでできあがったイメージは明らかに異なります。史料に正面から向き合い考察することで、リアルな人物像を浮かび上がらせる面白さを体験することが、このゼミならではの醍醐味といえます。
さらに、新選組という存在が現代社会のコンテンツとして生きているのか、京都の街中で現地調査を行い、学生による新たな活用方法の検討を進めたいと思っています。

京都の伝統的パフォーマンスを分析する

ペレッキア ディエゴ ゼミ

伝統芸能やイベント、儀式など、京都で行われるさまざまなパフォーマンス形態について研究を行います。このゼミのテーマである 「パフォーマンス・スタディーズ」とは演劇学と人類学が交わった学問分野。歴史的な祭事から、結婚式や野球の試合といったイベントまで、特に人間の身体表現を伴うパフォーマンスが学びの対象となります。 例えば「能楽」を鑑賞し、上演分析を行うと、演者がかける能面の役割やどのように使い分けているのかなど、そこに宿る「意味」が見えてきます。その他にも、京都の伝統織物の資料館や歴史的文化財などで積極的にフィールドワークを実施し、パフォーマンスの現場で観察・分析を行うことで、背景にある伝統や社会の成り立ちをひもとき、多様な視点を身に付けていきます。

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