生成AI利用ガイドライン
2026.07.10
学生向け ─ 活用指針・遵守事項・リスク
生成AIの利用は、使い方と心がけ次第で、あなたの学びを支援するものにもなれば、学びを妨げるものにもなります。本学の「生成AI利用の基本姿勢」に基づき、生成AIを利用する際は、以下の指針とルール、リスクを正しく理解しつつ、適切に活用してください。
Ⅰ 学びのための活用指針
以下は、生成AIを学びの支援ツールとして活用するための指針です。
AIを思考の代替ではなく支援ツールとして活用する指針1
生成AIは学びを支援する道具もしくは支援するパートナーです。AIからの出力・回答は、結論ではなく、検討・判断の素材、理解の補助、作業の手助けとして扱うべきであり、思考や判断を代替するものではありません。大学での学びにおいて重要なのは、自ら調べ、理解し、考え、判断することです。生成AIに思考や判断そのものを委ねるのではなく、自らの学びを深めるために活用してください。
ファクトチェックを徹底する指針2
生成AIは、存在しない情報や事実とは異なる情報など、ハルシネーションと呼ばれる虚偽の情報を出力することがあります。AIが提示した情報を鵜呑みにはせず、必ず自らの手で信頼できる学術文献や一次情報(公式資料、統計資料、法令、論文、書籍、当事者が公開した資料など)を調べ、確実に存在する情報や事実を知る確認(ファクトチェック)を徹底してください。
生成AIを学びの支援として活用する指針3
生成AIは、学びを支援する目的で、例えばブレインストーミングやアイデア出し、論点の整理、情報収集、文章校正、翻訳やプログラミングの補助などに活用することが有効です。これらの活用を通じて、生成AIを思考の出発点や補助として用い、自ら調べ、考え、自分の言葉で再構成することを意識してください。生成AIを活用する際は、あくまで主体的な学びを支援するツールとして適切に利用してください。
Ⅱ 学びの誠実性に関するルール
以下は、成績評価の公正性に関わる遵守事項であり、違反した場合は不正行為として扱われる可能性があります。
授業ごとの指示・条件の遵守【最優先】ルール0
生成AIの利用範囲や条件は、授業の目的や到達目標によって教員から具体的な指示をすることがあります。シラバスやガイダンス、課題ごとの指示や条件(例:「構成案作成のみ許可」「全面禁止」など)があれば、最優先でその内容を確認し、それに従ってください。また、利用が許可されている、もしくは禁止されていない場合、どのAIツールをどのように使ったかを適切に申告・明記(※教員の指示に従う)してください。大学全体のルールよりも、各授業で指示や条件がある場合は、その内容が優先されます。
AI生成物の無断提出(丸写し/コピペ)の禁止ルール 1
生成AIの出力を、自らの考察や理解を加えることなくそのままレポート等の成果物として提出することは、自らの学びを放棄するだけでなく、学問的誠実性に反する不適切な行為(不正行為や剽窃)とみなされます。生成AIの出力をそのまま貼り付けて提出することは絶対にしてはいけません。生成AIの出力を利用する場合は、自ら内容を理解し、検証し、自身の考察や判断を加えた上で活用してください。
課題丸投げ(思考過程丸投げ)の禁止ルール2
授業で課されるレポート課題等において、課題の目的・意図(何が問われているか)を理解せず、生成AIに書かせたり、解かせたりし、そのまま考えずに提出することは、自身の理解や思考の過程を偽り、教員に誤った評価を与えることにつながるため、不正行為に該当する場合があります。このような行為は、思考の過程を丸投げし、学びの機会を失うことになります。一時的に楽ができても、長期的には皆さんの批判的思考力を低下させる「認知的な借金」となります。生成AIを使う・使わないに関わらず、課題の目的・意図は必ず自身の頭で考え、基本姿勢で掲げた「知る」「理解する」「考える・実践する」この3つのプロセスを経て、最終的には自身の責任のもとで作成した成果物を提出してください。
Ⅲ 理解すべきリスク
バイアスが含まれた情報リスク1
生成AIは、分野や内容によっては時代と共に変化してきた考え方やルール、習慣等に依存した様々な内容を学習しています。それゆえにAIは偏った情報(バイアス)を出力することがあります。具体的には、人種や肌の色、性別、文化、言語、政治的思想、価値観、科学的事実など様々です。そういったバイアスを含んだ情報が含まれているかもしれないリスクに十分注意し、バイアスそのものを知る・調べることも含めて、生成AIを利用してください。
情報漏洩と個人情報・機密情報の扱いリスク 2
生成AIに入力したプロンプト(質問やデータ)は、AIの学習データとして利用され、意図せず他所に流出・漏洩する危険性があります。皆さん自身の個人情報の入力は注意が必要ですし、他人のプライバシーに関わる情報や未発表の研究データなどの機密情報は絶対に入力しないでください。入力データを学習に利用させない設定(オプトアウト機能など)を活用することも重要です。
注意事項:大学提供の生成AIについて
大学が学生に提供している生成AI(組織版 Microsoft Copilot)は、入力データを学習に利用させない標準設定になっています。ただし、学習に利用されない設定であっても、入力内容がインターネット上のサーバーに送信されること自体は変わりませんので、その点は注意してください。
著作権侵害リスク 3
生成AIの出力内容には、既存の著作物(文章、画像、プログラム等)がそのまま含まれている場合があります。これに気づかずに公開したりレポートとして提出したりすると、意図せず著作権侵害となってしまう恐れがあります。既存の著作物に係る権利を侵害しないよう、常に情報源を確認し、他者の著作物を利用する際は適切な引用のルールを遵守してください。また、他者の著作物を生成AIに入力すること自体にも注意が必要です。入力データを学習に利用させない設定であっても、利用目的によっては著作権侵害となるリスクがあります。
Ⅳ 事例から学ぶ
生成AIの利用方法によっては、自らの学びを損なうことや、学問的誠実性に反する不正行為につながることがあります。以下の事例を通じて、自身の利用方法を振り返ってください。
A 学びを損なう利用例
以下は、成績評価上の不正行為には該当しないものの、学びの機会を損ない、能力の形成を妨げる可能性がある利用例です。
課題達成のみを目的に短時間で課題を終わらせる[指針1・2に関連]事例1
状況
単位を取得することだけを目的とし、課題をAIに実施させて短時間で終わらせることを「効率的(タイムパフォーマンスが良い)」と錯覚する。
なぜ問題なのか
本来、大学の学びは教養を身に付け、専門性や思考力を高めるためにあります。大学での4年間は能力を向上させるための重要な時間と機会の集積です。課題の提出のみを目的として自ら「知る」「理解する」「考える・実践する」をスキップするツールとしてAIを使えば、自らを「学ばない者」に育てることと同義であり、大学で得られるはずの成長の機会を自ら放棄する行為に他なりません。そして、それは長期的には自身の批判的思考力を奪うことに繋がります。
提出課題はよくできても議論や試験では何も答えられない[指針1・2に関連]事例2
状況
AIを使って素晴らしいレポートを提出したが、後から内容について教員に質問されると、自分の言葉で説明できない。
なぜ問題なのか
レポートそのものについて「なぜそう書いたの?」と問われて答えられないのは最悪の事態です(「AIがそう書いたから」は言い訳にすらなりません)。これは事例1とも大きく関係することで、高度な文章が短時間で作成できたとしても、自分の提出した内容すら記憶に残っていない「認知的借金」(記憶や思考の不足)が蓄積した末路です。自分の頭に負荷をかけて「知る」「理解する」「考える」プロセスを放棄すると、表面的な成果物は作れても、その後の進歩や発展に繋がりません。
卒業論文や自分が何に興味を持つべきかをAIに決めてもらう[基本姿勢「考えること・行動することを止めない」に関連]事例 3
状況
卒業論文のテーマ設定や、「自分が何に興味を持つべきか」「何を学ぶべきか」といった学習の目的や欲求の決定までを生成AIに委ねてしまう。
なぜ問題なのか
生成AIは与えられた指示を実行することには長けていますが、自発的な欲求や「こうしたい」などの意識を持ちません。大学における学びにおいて、自らの問いや関心を見つけ出し、何に挑戦するかを設定することは、人間にしかできない最も重要な行為です。目的の設定までAIに委ねることは、自らの学びにおける主体性を完全に放棄することに他なりません。
B 不正行為につながる利用例
以下は、成績評価に影響を与える不正行為に該当する、または該当する可能性がある例です。
AIが生成した文章をそのまま提出する[ルール1に関連]事例4
状況
課題の指示に対し、AIが生成した文章をほとんど修正せず、そのままレポートとして提出する。
なぜ問題なのか
レポートや課題は、学生自身の理解度や思考力を評価するために課されています。AIが作成した内容を自分の成果物であるかのように提出することは、教員に自身の理解度や能力について誤った評価を与えることにつながります。これは学問的誠実性に反する行為であり、不正行為や剽窃とみなされる場合があります。
AIが挙げた立派な参考文献を読まずにそのままコピペして提出[指針2・ルール1に関連]事例5
状況
AIが出力したもっともらしい事実や参考文献のリストを、一次情報や学術データベースで実在するか確認(ファクトチェック)することなく、そのままレポートの根拠として記載する。
なぜ問題なのか
生成AIは実在しない文献や虚偽の事実(ハルシネーション)をもっともらしく出力することがあります。確認を怠って架空の情報を元にした課題の実施やレポート提出をすることは、怠慢であるだけでなく、虚偽を提出する不正行為にあたります。AIが提示した情報を盲信せず、自らの責任で確認や裏付けを取りましょう。
自分では説明できない内容を提出する [ルール2に関連]事例6
状況
AIとのやり取りによって課題を完成させたが、提出した内容について質問されても、自分では根拠や考え方を説明できない。
なぜ問題なのか
生成AIを利用すること自体は問題ではありません。しかし、提出された課題は学生本人の理解や思考の成果として評価されます。内容を説明できない状態で提出することは、課題を通じて評価されるべき能力を適切に示しているとはいえず、教員に誤った評価を与えることにつながります。生成AIを利用した場合であっても、提出する内容について自ら説明し、責任を持てる状態であることが求められます。