AIの軍事利用および人間との関係性

報告者 岩本 誠吾(所員・法学部 教授)
開催場所 京都産業大学 11号館11306教室+オンライン(Teams)
開催日時 2026年5月27日(水)13:00~15:00

研究会概要

世界問題研究所では、令和8年5月27日(水)に本年度第2回の定例研究会を実施した。講師として本学法学部教授の岩本 誠吾 先生をお迎えし、「AIの軍事利用および人間との関係性」と題してご講演をいただいた。

本研究会は、京都産業大学の全ての構成員に開かれた対話の機会として設けられ、多様な専門をもつ教職員のみならず、学生の方にもご参加をいただいた。

岩本先生は国際法学をご専門とされており、今回のご報告では、AIの軍事利用に関する国際法上の規制について、最新の動向を紹介しながら、そこにはらまれる重要な諸問題を詳しく論じてくださった。

ご報告によれば、AIの軍事利用について、従来はHITL(Human in the Loop)に見られるように、軍事攻撃の標的選定や意思決定プロセスに人間の判断が介在することで、戦闘行為における誤認や極端な過激化をある程度防止できると考えられてきた。ところが、近年、AIが自律的に目標を選定し、攻撃するシステムの活用が推進されていることから、人間の判断の果たす役割が相対的に希薄化しつつあるとの懸念が生じている。軍事作戦におけるAIの関与の度合いが高まり、人間は意思決定過程に関与はするものの、「承認(Approve)」ボタンを機械的に押すだけの従属的存在になり下がりつつあるのではないか、というのだ。その結果、現実の戦いにおいて、AIの意思決定に従ったにもかかわらず、誤爆による民間人殺害という深刻な被害すら発生しているが、その責任の所在はいまだにはっきりしていないのである。

こうした戦争行為における一連の人間の位置づけは、攻撃を加える側においても、標的となる側においても、いずれも人間の価値を曖昧にするものであり、その結果、「人間の尊厳」が傷つけられる深刻な事態をもたらしかねない。しかし、このような事情は、従来の法理論が想定していた事情を超えており、法的対応はいまだ十分ではないのである。

ご報告では、こうした事情を、近年の実戦事例と国際社会の法的規制に関する動向を詳細に追跡しながら、問題点を整理し、そこに含まれる理論的内容を詳しく論評してくださった。そのため、国際法学を専門としない者にも、極めて分かりやすく、興味深い内容のご講演となった。

ご報告の後には、参加者より多様な質問が投げかけられ、岩本教授にはその一つひとつに丁寧にお答えいただいた。そこでは、参加者の多様なバックグランドを反映し、「アルゴリズムと人間の責任との関係をどう捉えるか」「専守防衛についてAIはどこまで関与すべきか」「宗教とAIとの関係をどう考えるか」「戦闘行為中にAIの判断を検証することは可能なのか」等々、多数の質問が寄せられた。教員のみならず学生の方も交え、活発な討論が繰り広げられた。

お忙しい中、貴重なご報告をご提供くださった上に、終始懇切に対話に応じてくださった岩本先生に心から感謝申し上げる。

報告中の岩本教授

質疑応答の様子