「中所得国の罠」の現状と課題

報告者 大坂 仁(所員・経済学部 教授)
開催場所 京都産業大学 11号館11201教室+オンライン(Teams)
開催日時 2026年4月22日(水)13:15~14:45

研究会概要

世界問題研究所では、令和8年4月22日(水)に本年度第1回の定例研究会を実施した。講師として本学経済学部教授の大坂 仁 先生をお迎えし、「『中所得国の罠』の現状と課題」と題してご講演をいただいた。

本研究会は、京都産業大学の全ての構成員に開かれた対話の機会として設けられ、多様な専門をもつ教職員のみならず、学生の方にもご参加をいただいた。

大坂先生は開発経済学をご専門とされており、今回のご報告では、広く国際社会を見渡しながら、経済成長に困難を抱えている国々の問題状況を、精密な統計データを用いてご説明くださった。

ご報告では、「中所得国」(低位中所得国、上位低所得国)に対する適切な経済成長論が欠けていることを指摘しつつ、これらの諸国の経済成長を妨げる「罠」の解明の必要性が論じられた。その上で、この問題について、詳細なデータに基づいて大坂先生ご自身の研究成果が紹介された。それによれば、「平均的な中所得国は『罠』に陥らずに、更なる経済成長を遂げる可能性がこれまでの経済成長率から示されている」が、しかしそれには「投資と教育が重要である」とのことだった。

分厚い先行研究を手際よく整理しつつ、広い視野と多様な観点から説得力のある議論が展開され、経済学を専門としない研究者にとっても非常に興味深く、学ぶところの多いご講演となった。今なお低調な経済状況に苦しむ日本の現状はもとより、現代世界の経済状況を理解するうえで、非常に有意義な研究会となった。
ご報告の後には、参加者より多様な質問が投げかけられ、大坂教授にはその一つひとつに丁寧にお答えいただいた。そこでは、経済学に加え、それ以外の多様な分野の専門家からも質問が投げかけられ、大坂先生のお話しされたテーマをより深く掘り下げることができた。この点で本研究会は、学際的な対話の場としてもその役割を果たすことができた。また、複数の学部から学生の聴講者があり、学部生にとっても学問の最先端の課題と議論にふれる貴重な機会になったと思われる。

お忙しい中、貴重なご報告をご提供くださった上に、終始懇切に対話に応じてくださった大坂先生に心から感謝申し上げる。

報告中の大坂教授

質疑応答の様子