「地域課題の包括的な解決策であるグリーンインフラの産学協働教育・研究」

報告者 西田 貴明(生命科学部 准教授)
開催場所 京都産業大学 12号館 12201教室+オンライン(Teams)
開催日時 2023年7月26日(水)15:00~17:00

研究会概要

世界問題研究所では、2023年7月26日(水)に、本学生命科学部産業生命科学科の 西田 貴明 先生をお招きし、ハイブリッド方式による研究会を実施した。御報告のテーマは「地域課題の包括的な解決策であるグリーンインフラの産学協働教育・研究」である。

御報告では、西田先生の自己紹介の後、近年わが国でも注目される「グリーンインフラ(GI)」についてお話しいただいた。グリーンインフラは「自然が持つ多様な機能を賢く利用することで、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラや土地利用計画」を表す政策概念として定義されるが、環境保全はもとより気候変動への対応、あるいは生態系を活かした防災・減災策、地域活性化など多方面への応用が進んでいる。御報告を通じて、欧米と我が国におけるグリーンインフラ政策の動向、推進のための体制づくり、教育現場での活用などを教えていただきその豊かな可能性が浮かび上がってきた。社会科学と自然科学の知見の融合による社会課題解決事例としても豊富な政策事例を教えていただき大変刺激的であった。

御報告のあとは、所員および学生を含む外部参加者との議論を行った。専門の異なる所員がそれぞれの立場から熱心に発言し、生物多様性と文化的多様性の関連、西洋と日本における自然観の相違、伝統的取組との連続性をどう考えるか等の文化論的関心からのコメントが多くなされたほか、国際条約上の位置づけや途上国での取組といった政治経済的視座からの熱心な質疑も続き非常に充実した時間となった。また政策的関心としては生態系サービスといった概念との関係、地域住民のモチベーションの維持策、生態系よりも人工構造物の方に政策的力点が置かれないか、GIは必ず有用性と結びつくべきなのか、などの質問が寄せられ、文理の垣根を超えた活発な意見交換がなされた。

報告中の西田准教授
議論の様子
PAGE TOP