京都産業大学初期史における教育改革案の再発見 ——科学技術社会論の視点から

報告者 川合 全弘(所長・法学部 教授)
開催場所 京都産業大学 上賀茂総合研究館 1階会議室およびオンライン(Teams)
開催日時 2021年10月6日(水)14:30~16:00

研究会概要

報告中の川合所長

第6回定例研究会は、「京都産業大学初期史における教育改革案の再発見——科学技術社会論の視点から」と題して川合 全弘 所長による報告がハイブリッドで行われた。この報告は、昭和45年に京都産業大学教学委員会教科課程専門分科会によって作成された教科課程の抜本的改革案である「中間答申書」を考察の対象とし、その意義解釈に際して、科学技術と人類社会との接点に生ずる諸問題を人文・社会科学の側から考察する「科学技術社会論」の視点を導入しようとするものである。なお報告では、時間の都合上、表題と副題の中、特に副題の方に的を絞って話が進められた。

川合報告は、科学技術と人類社会との関係を、①変革、②利用、③要求、④反省の4つの局面に分たれる、相互的で循環的な交渉関係として整理しつつ、大学を、①の局面と④の局面とにおいて今日重要な役割を果たす、制度的媒介者の一つと位置づけた。この理論的な位置づけから、同報告は、「中間答申書」の意義について、京都産業大学が既成大学の因習的なあり方と文部行政による画一的な大学規制とに批判的に対峙し、高度産業社会の要求とマス化しつつある学生社会の要求とに創造的に応じることを目指して、画期的な研究・教育体制を備えた「新構想の大学」へと自己変容を遂げようとした、乾坤一擲の大仕事として解釈されうる、との予想を述べて話を締め括った。

その後、科学技術社会論の理論的特徴や「中間答申書」の意義解釈をめぐって、活発な質疑応答が行われた。

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