2026(令和8)年度 過去の研究会詳細

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第3回ことばの科学研究センター研究会

日時 9月30日(水)14:00~16:00
場所 4号館2階 総合学術研究所会議室
発表者及びテーマ
ポライトネスの観点からのロシア語形容詞の長短語尾形の分析
北上 光志(ことばの科学研究センター研究員・外国語学部教授)

ロシア語の形容詞には、形態的に長語尾形と短語尾形が存在する。長語尾形は名詞修飾語および述語として用いられるのに対し、短語尾形は述語としてのみ機能する。したがって、両形に共通する機能は述語用法である。述語として用いられる長語尾形と短語尾形の使い分けについては古くから研究が行われてきたが、いまだ決定的な定説はない。伝統文法ではしばしば「恒常的特徴」と「一時的状態」の対立によって説明される。しかし近年の研究では、この説明だけでは捉えきれない実例が多数報告されており、意味論・統語論・コーパス言語学などの観点から再検討が進められているものの、統一的な見解には至っていない。本発表では、従来の研究では十分に指摘されてこなかったポライトネスの観点から、形容詞の長語尾形と短語尾形の差異に着目する。そして、両形の使い分けにどのような要因が反映されているのかを明らかにすることを目的とする。

アンドレ・ブルトン『シュルレアリスムと絵画』(1928)における動きだすイメージ
梶 茂樹(ことばの科学研究センター客員研究員・現代社会学部元客員教授)

アンドレ・ブルトンは、シュルレアリスム運動を代表する詩人・批評家である。この運動の造形芸術における指標を示す『シュルレアリスムと絵画』(1928年刊)では、絵画や写真の固定したイメージが運動に関連することばで語られ、独自の生命を得て変容するものとして描写される。なぜブルトンは静的なイメージを動的なものとして捉えるのか。本発表では、テクストに現れるイメージの生成や変容を示す表現を精査し、ブルトンがイメージに自律性を認めていたことを示す。続いて、当時発展を遂げていた映画との連関を検討する。以上を通じて、ブルトンが絵画をイメージが生成し変容する場として提示した理由を明らかにしていきたい。

sec02

第2回ことばの科学研究センター研究会

日時 7月22日(水)14:00~16:00
場所 4号館2階 総合学術研究所
発表者及びテーマ
比較対応の幻想:印欧祖語における中・受動態語尾をめぐって
吉田 和彦(ことばの科学研究センター客員研究員・外国語学部元客員教授)

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Jay Jasanoffは、接尾辞*-ye/o-を持つ動詞の3人称単数中・受動態として、*-ye-toという形式を印欧祖語に想定している。この再建形は古代印欧諸語の対応形式に対して自然な説明を与えるために、オッカムの剃刀の原理に従うと特段の問題がないと考えられる。しかしながら、いくつかのアナトリア諸語の事実はこの再建形が合理性を欠くことを示している。本発表では、*-ye-toではなく、*-ye-oという再建形が妥当であるという根拠を5つ示す。 もとより祖語の再建という目標に向けて、比較方法がきわめて重要な役割を果たすことは言うまでもない。しかしながら十全な文献学的根拠に支えられていない場合には説得力を欠く結果に陥る。比較言語学と文献学という二つの学問の協調の必要性は強く認識されなければならない。

ニョロ語に時制はいくつあるか.
梶 茂樹(ことばの科学研究センター客員研究員・現代社会学部元客員教授)

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アフリカのバンツー系の言語は、スワヒリ語やリンガラ語などのピジンに由来する共通語を別にすれば複雑な動詞構造を有する。現在調査を行っているウガンダ西部のニョロ語やキガ語などでは時制・アスペクト・ムードによる活用形が50以上もある。純粋に時制だけを見ても、遠い過去、近い過去、今朝の過去、近い未来、近い未来など様々である。さらにアスペクトやムードにも時制が絡んだ活用形が多くある。今回の発表ではニョロ語について、アスペクト・ムードも含めて活用形がどのような時制で表現されているかを考察し、全体としていくつの時制があるかを検討する。

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第1回ことばの科学研究センター研究会

日時 6月24日(水)14:00~16:00
場所 4号館2階 総合学術研究所
発表者及びテーマ
構文と事態の把握
島 憲男(ことばの科学研究センター研究員・外国語学部教授)

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これまで検討してきた宮澤賢治作品やMichael ENDEのMomoからの用例に基づいて外界の事態がどのように把握され、ドイツ語ではどのように表現されているかを紹介する。特に日本語の擬音・擬態表現に相当するオノマトペが生起するオノマトペ構文、文中に主に同語源である対格名詞を有する同族目的語表現、名詞句の結果状態を描写する結果項を持つ結果構文に注目した場合、その特徴的文肢が文脈中で想定される外界を認識する主体(=知覚者)の把握内容を言語化した主観的な表現であることを示したい。

ことばの中に心が広がる
--イタリアの詩人ダンヌンツィオのアルカイズム--
内田 健一(ことばの科学研究センター研究員・外国語学部准教授)

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ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)の代表的詩集『アルキュオネー』(1903)に含まれる「仕事と日」と「竪琴のない吟遊詩人」は、古代ギリシアのヘーシオドス『仕事と日』が念頭に置かれ、そこに登場する白髪の老農夫は古代ローマのウェルギリウス『農耕詩』を想起させる。農夫のことばは壮大な古代叙事詩の一節のようで、耳を傾ける人の心はその中に広がる。研究会では、ダンヌンツィオの擬古的な詩作技法を分析し、ことばによって過去を今に蘇らせることの意義を検討する。

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第1回ことばの科学研究センター講演会

日時 5月27日(水)14:30~16:00
場所 第2研究室棟1階会議室
発表者及びテーマ

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植村 和秀(法学部教授)
ことばと政治思想~名称と意味がずれる現代~

現代の日本では、「保守」「革新」「リベラル」といった政治的なことばの意味が、かつてよりも分かりにくくなっています。より正確に言えば、名称と指し示す内容の結びつきが不安定化し、人によって受け取るイメージが異なる状況が生まれています。こうした現象は、社会が変化する時代にはしばしば見られるものですが、その一方で、建設的な対話を難しくする要因にもなっています。
本講演では、歴史的な事例を参照しながら、政治思想をめぐることばの混乱を「新しい時代における再定義の過程」として捉え直す視点を提示します。