2026(令和8)年度 過去の研究会詳細

第1回ことばの科学研究センター研究会

日時 6月24日(水)14:00~16:00
場所 4号館2階 総合学術研究所
発表者及びテーマ
島 憲男(ことばの科学研究センター研究員・外国語学部教授)
構文と事態の把握

これまで検討してきた宮澤賢治作品やMichael ENDEのMomoからの用例に基づいて外界の事態がどのように把握され、ドイツ語ではどのように表現されているかを紹介する。特に日本語の擬音・擬態表現に相当するオノマトペが生起するオノマトペ構文、文中に主に同語源である対格名詞を有する同族目的語表現、名詞句の結果状態を描写する結果項を持つ結果構文に注目した場合、その特徴的文肢が文脈中で想定される外界を認識する主体(=知覚者)の把握内容を言語化した主観的な表現であることを示したい。

内田 健一(ことばの科学研究センター研究員・外国語学部准教授)
ことばの中に心が広がる
--イタリアの詩人ダンヌンツィオのアルカイズム--

ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)の代表的詩集『アルキュオネー』(1903)に含まれる「仕事と日」と「竪琴のない吟遊詩人」は、古代ギリシアのヘーシオドス『仕事と日』が念頭に置かれ、そこに登場する白髪の老農夫は古代ローマのウェルギリウス『農耕詩』を想起させる。農夫のことばは壮大な古代叙事詩の一節のようで、耳を傾ける人の心はその中に広がる。研究会では、ダンヌンツィオの擬古的な詩作技法を分析し、ことばによって過去を今に蘇らせることの意義を検討する。

第1回ことばの科学研究センター講演会

日時 5月27日(水)14:30~16:00
場所 第2研究室棟1階会議室
発表者及びテーマ
植村 和秀(法学部教授)
ことばと政治思想~名称と意味がずれる現代~

現代の日本では、「保守」「革新」「リベラル」といった政治的なことばの意味が、かつてよりも分かりにくくなっています。より正確に言えば、名称と指し示す内容の結びつきが不安定化し、人によって受け取るイメージが異なる状況が生まれています。こうした現象は、社会が変化する時代にはしばしば見られるものですが、その一方で、建設的な対話を難しくする要因にもなっています。
本講演では、歴史的な事例を参照しながら、政治思想をめぐることばの混乱を「新しい時代における再定義の過程」として捉え直す視点を提示します。