社会安全・警察学研究所 6月研究会(RISTEXプロジェクト関連)

6月23日に開催された研究会に、米田雅宏北海道大学法学部教授をお招きして、「警察と他機関との連携を規律する『規範』—規範学としての警察法学の視点から」と題して、お話を頂いた。米田氏は警察行政法分野において、とりわけ、警察と他の行政組織との権限分配の在り方、危険防御のための法制の在り方に関して、日本の第一人者といえる研究者である。

米田教授は、現状として、「警察と他機関が連携する上での規範の不在」、「児童虐待事案などに関してのインフォーマルな対応」、「現場警察官などの判断に依存」することなどが連携の不安定さをもたらしていることを指摘し、この問題解決を図る上で、「警察と他機関管轄競合を規律する規範の可視化」、「執行機関としての警察官の位置づけの明確化」などが不可欠であることを、ドイツ警察行政法の補完性原理などを参考にしながらお話していただいた。合わせて、警察が真に執行力を発揮するために、危険概念の精緻化を図る必要があり、参考になるものとして、ドイツでとられている論証手続を紹介していただいた。

会場には警察大学校教授、大学研究者が参加し、公法的見地からの警察と他機関連携の在り方やドイツにおける警察活動、他機関連携の現状と問題点などについての活発な質疑応答と意見交換がなされた。

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