安藤 紘基

ANDO HIROKI
理学部 宇宙物理・気象学科 准教授
学位
博士(理学)
専門分野
地球・惑星大気科学

研究テーマ

惑星大気科学

高校生に向けた研究内容の紹介

惑星を周回する探査機から射出される電波が、探査機の運動と大気による屈折で受信周波数が変化すること(ドップラーシフト)を利用し、惑星の気温分布を測定することで惑星の大気構造を観測的に調べています(電波掩蔽法)。現在は金星の大気構造に着目し、あかつきやVenus Expressの電波掩蔽観測データの解析を進めています。

金星の強風“スーパーローテーション”が生まれるメカニズムとは?

地球、金星、火星といった地球型惑星における大気構造や大気現象について研究しています。主な研究手法は、人工衛星から出る電波を使った電波掩蔽(えんぺい)法。受信する周波数から気圧や気温を明らかにする方法で、わかりやすくいえば電波という体温計を使って惑星の状態を調べるようなイメージです。
特に私が注目しているのは、地球の双子星と呼ばれる金星の大気構造。重力や質量など基本的なパラメーターはよく似た2つの惑星ですが、大気の状態はまったく異なります。たとえば金星では「スーパーローテーション」と呼ばれる毎秒100mのすさまじい強風が星全体を覆うように吹いていますが、この風がどうやって生成・維持されているのかは謎に包まれています。果たして地球の気象学はどこまで通用するのか。人工衛星のデータを使ってその謎に踏み込んでいくのがこの研究の醍醐味のひとつといえます。
水が存在しない金星は、いわば“究極の温暖化”が進んだ状態。つまり地球の悲惨な未来を映す鏡ともいわれます。金星の大気構造を知ることは、地球の温暖化を食い止める手掛かりになるかもしれない。地球の未来や環境問題を考えるうえでも有意義な研究といえるでしょう。

ゼミナール/研究室のテーマ

地球型惑星大気の電波掩蔽観測

人工衛星や宇宙探査機から発せられる電波を用いて(電波掩蔽法)、地球・金星・火星という地球型惑星の大気構造やそれらの違いを調べています。特に金星・火星の場合は、遠く離れた所にいる探査機と地球を結んだ壮大なスケールの実験・観測です。


※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

ゼミ/卒業研究の紹介

学生それぞれに研究テーマを与え、データ解析に必要なプログラムを一緒に構築したり、研究を進める上で参考になる論文を一緒に読んで知識を蓄えています。実際に宇宙を飛行している探査機によって取得されたデータに触れられる機会は中々ないことなので、学生には貴重な経験だと思います。

プロフィール

千葉県四街道市で生まれ育ちました。幼い頃はとにかく落ち着きがなく、両親や学校の先生によく怒られていました。そんな自分が研究者になったことに、自身を含め両親も友人も大変驚いています。趣味は、ギター(アコギ)・古武道(杖道)・テニス(最近やってない)・スポーツ観戦です。最近はバスケ観戦にはまっており、京都ハンナリーズと千葉ジェッツを応援しています。

高校生へのメッセージ

何でも良いので、「これだ!」と思って夢中になれるものを見つけてください。目標があると、多少の苦労があっても最後まで諦めずに頑張ることが出来るのではないでしょうか。また、物事がうまく行っている時こそ、周囲への感謝と謙虚さを忘れないようにしてください。その気持ちが、自身をより一層成長させると思います。