渡辺 達也

WATANABE TATSUYA
理学部 数理科学科 教授
学位
博士(理学)
専門分野
関数解析学

研究テーマ

変分問題と微分方程式

高校生に向けた研究内容の紹介

「なぜこんな形をしているのか」「なぜこんな現象が起こるのか」。世の中の色々な現象は、微分方程式を使って説明できます。微分方程式を解くことで、状態が「どのように変化するか」が分かります。また、関数の微分が0となる点を求めて形状を調べることを、高校で学びます。変分問題とはこれを拡張したもので、「関数の関数」の形状を調べる問題です。微分方程式を変分問題に書き換えることで、より複雑な現象を解析できます。

微分方程式と変分法

「なぜこんな形をしているのか」「なぜこのような現象が起こるのか」。世の中のさまざまな現象に関する疑問は、実は数学を使って説明することができます。私の研究室では、微分方程式を用いて、身近な現象を数学的に解析していきます。
方程式といえば、一般的に未知の“数”を解として求めるものですが、微分方程式では“関数”を求めます。状態は変化を伴い関数で表されるので、微分方程式を解くことで、現象が「どのように変化するか」が見えてきます。
例えば、やかんを火にかけるとどのくらいの速さで熱が伝わるかといった熱伝導や、物体が落下するときの空気中の抵抗力、感染者数や実効再生産数からウイルスの広がり方を算出するなど、おそらく皆さんが想像されるよりずっと身近なところで微分方程式を活用できます。

さらに「変分法」を用いて、微分方程式の解の存在や安定性を示す試みにも挑戦していきます。変分法とは、汎関数(関数の関数)を最大・最小化する手法であり、微分方程式を解くために有効なツールの一つです。変分問題に書き換えることで、これまで解けなかった微分方程式の解を導き出すことができ、より複雑な現象を解析することが可能になります。
大学で学ぶ数学は、「限られた時間で正しい答を求める」ことを目的とする高校までの数学とは違う面白さがあります。真剣に取り組めば、数学に関心を寄せるみなさんが、これまで積み上げてきた学びの一つのゴールとなるはずです。方程式を解いた先には何があるのか??
一緒にその答えを探しましょう。

ゼミナール/研究室のテーマ

微分方程式と変分法

様々な自然現象は微分方程式を用いて数学的に定式化されます。このような微分方程式に対して、微分積分学で学ぶ極値を求める考え方を発展させた「変分法」を用いて、解の存在や安定性を示す研究を行います。


※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

ゼミ/卒業研究の紹介

私のゼミでは、微分方程式や変分問題、微分方程式を解くのに有用なフーリエ解析を学びます。卒業研究では、身に着けた手法を用いて、 様々な自然現象を解析します。学生の具体的な研究テーマは、吊り下げたネックレスの形・障害物があるときの水の流れ・楽器の音色と弦や膜の振動の関係・多種生物の競争や共存などです。微分積分学がどのように現象の解析に使われるか学び、それを人に伝えられることを目標としています。

プロフィール

東京の郊外(八王子)出身で、高校と大学には1時間半くらい掛けて通っていました。当時は小説(特に推理小説)を読むことが好きで、アルバイト代のほとんどを本購入に使っていました。帰りの電車で座れたら、すぐに本を読み始めるのですが、疲れから途中で寝落ちしていました。多分4000冊くらい部屋に本があったのですが、関西に引越してくるときに全部処分しました。今は小説を読まなくなって、持っているのは数学の本がほとんどです。

高校生へのメッセージ

高校で習う微分積分法は計算技法の側面が強いですが、元々は自然現象を調べるために生まれたものです。私の研究分野である変分問題は、知れば知るほど色々な応用があって、微分積分学の面白さが凝縮された分野です。複雑な微分積分の計算が出てきますが、時間が掛かっても式変形を1個ずつ丁寧に追える人にはおすすめです。大学を卒業して企業に就職や教員になったときに、これまでの集大成としての達成感が味わえると思います。