研究テーマ
曲線・曲面理論
高校生に向けた研究内容の紹介
私は微分幾何学が専門で、特に「曲がったもの」、曲線や曲面の研究を行っています。曲線や曲面は、高速道路の設計を始めとした建築工学、結晶構造といった材料科学との関連も深く、近年ではコンピューターグラフィックス分野でも研究されています。私は、曲線や曲面の構成法の研究を数学的な観点から行っており、既知の曲線や曲面から新たな曲線や曲面を構成する方法を研究しています。また、滑らかな曲線や曲面の研究だけでなく、離散的な曲線や曲面の研究も行っており、ものづくりへの応用研究も積極的に行っています。
曲線・曲面の構造や構成法を解明し、ものづくりに応用
私は微分幾何学が専門で、曲線や曲面など曲がったものの数学的な解析を行っています。微分幾何学を用いた曲線・曲面の研究では、それらのパラメータ表示を用いて、微分方程式を導出したり解いたりすることで、曲線・曲面の構造や構成法について明らかにしていきます。曲線・曲面の研究の有名な応用例の1つが高速道路の設計です。「曲率」という曲線の曲がり具合を考えることで、事故が起こりにくい高速道路の構造を導き出せることが知られています。
また、私は燃料電池や半導体デバイスなどに用いられるカーボンナノチューブを対象にした共同研究にも参加しています。カーボンナノチューブは炭素で構成された非常に小さなチューブ状の物質で、その中に存在する曲線や曲面の構造を微分幾何学的に明らかにしようと試みています。このように、建築や材料化学など多彩な分野の方々と共同して、ものづくりに応用できる可能性を持っているのが曲線や曲面の研究です。
近年、曲線・曲面の研究で欠かせないのがパソコンでの3D描画です。手描きだけで解析するのが難しい曲面を3D描画することで、数式だけでは理解するのが難しい複雑な構造を視覚的に理解でき、研究の糸口が見つかります。そのため研究室の学生にも、Python(パイソン)やMathematica(マセマティカ)というプログラミングを使った研究テーマに取り組んでもらい、実践的に学んでもらっています。
ゼミナール/研究室のテーマ
曲線・曲面理論
私は曲がったもの、特に「曲線や曲面の研究」を行っています。曲線や曲面の構成法の研究は、幾何学だけでなく、解析や代数、可積分系、プログラミングなど様々な分野と関わりがあります。
また近年では、モノづくりといった応用分野とも関連が深く、自由な視点で研究することができます。
※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。
ゼミ/卒業研究の紹介
私の研究室では、学生の興味に合わせて研究内容は臨機応変に対応しています。3年生の数理科学特別研究Iでは初めての研究室配属となり、まだ何を研究してよいか分からない学生も多いので、曲線・曲面論を含めた微分幾何学のテキストや可積分系のテキストから1冊を選んでもらって輪読することが多いです。4年生以降では、3年生のゼミ活動のときに興味を持った内容をより深く研究してもらいます。過年度では「閉曲線の構成法」や「Pythonを使ったプログラミング」等の研究テーマがあります。
プロフィール
私は高校生のときに、理学部出身の先生に出会い、「εδ論法」を用いた極限の定義を習いました。当時の私は何も理解できなかったですが、「高校数学にはあいまいな部分がある」というのは感じ取れました。その後、偶然にも大学受験で理学部に進学し、数学者になりました。
研究を続けていると、「わからないことが少しずつわかってくる」という楽しさがあります。理解できるまでは地獄の計算や試行錯誤が続きますが。一人で解決できないときは、共同研究として他の研究者とも協力して問題解決に取り組めるので、研究のモチベーションを保つことにも繋がっています。
高校生へのメッセージ
数理科学科は「数学が嫌い」でなければ、進学先として一考の余地があると思います。本学科では1・2年時に高校数学をより厳密な方法(εδ論法など)で再度勉強するところから始めます。またプログラミングも学べ、数学だけでなく、情報の先生になろうという学生にもオススメです。
数学を学び、ゆっくり語りあえるのは、多くの人にとって大学生の時期が最後になると思います。教員になろうという学生はもちろん、理系職に就きたい学生にとっても、情報化社会を支える数学をしっかりと学べるのは貴重な機会だと思います。