渡部 潤一
- 学位
- 博士(理学)
- 専門分野
太陽系天文学(彗星、流星、小惑星などの観測的研究)
研究テーマ
彗星、流星、小惑星などの太陽系小天体の観測的研究/考古天文学
高校生に向けた研究内容の紹介
太陽系には、地球を含む8つの惑星だけでなく、たくさんの小さな天体があります。主に岩石質の小惑星。氷を含み、太陽に近づくとしばしば長い尾を伸ばす彗星。小さな砂粒や塵が地球に衝突して光る流星。これらの小さな天体群は、太陽系が生まれた46億年前の情報を持つ、いわば「化石」です。地球のような惑星は大きく育ってしまったため、ドロドロに溶けて初期の情報を失っています。それに対して、小さな天体は、その多くがドロドロに溶けた経験が無く、46億年前の生まれた時のままだからです。こうした「化石」を調べるために、我々は地上の天体望遠鏡を用いて観測します。彗星の場合は、太陽という天然のバーナーによって炙られているような状況ですから、そこから融け出して気化した成分を調べることができます。流星は宇宙空間に放出された塵が地球大気に突入して高温となって蒸発して光っている現象なので、これも天然の加熱実験と言えます。こうした宇宙の壮大な実験を天体望遠鏡などで詳しく調べ、46億年前の太陽系の歴史の一端を紐解こうとしています。また、古の先人たちが夜空を眺め、それを記録した遺跡や古文書の研究もしています。考古学と天文学の境界領域という、まだまだ未踏の分野にも挑んでいます。
プロフィール
福島県会津若松市生まれ。会津高校卒業後、東京大学で天文学を学び、その後、東京大学東京天文台に入台。改組で生まれた国立天文台では広報普及部門を立ち上げ、講演、執筆、メディア出演など幅広く活躍。国際天文学連合(IAU)では「準惑星」という新カテゴリーを誕生させ、冥王星をその座に据え、6年間副会長を務めた。総合研究大学院大学教授、自然科学研究機構国立天文台副台長、国際天文学連合副会長等を経て、2026年4月より現職。理学博士。「賢治と「星」を見る」(NHK出版)、「古代文明と星空の謎」(筑摩書房)、「第二の地球が見つかる日」「最新 惑星入門」(朝日新聞出版)など著書監修書多数。
高校生へのメッセージ
理科少年として星や宇宙の魅力に惹かれていきましたが、天文学に進もうと思った大きなきっかけは、小学生の時の衝撃的な経験です。1972年10月8日、夜空に雨あられのように流れ星が降ると予想されました。ジャコビニ流星群です。小学生の私は他の理科少年と共に小学校の校庭で、その時を待ちました。が、待てど暮らせど流れ星は現れませんでした。予想がはずれたのです。がっかりした反面、面白いとも思いました。それまで天文学は日食や月食、日の出日の入りなど秒単位で正確に予測できる学問と思っていました。ところが予測がはずれることがある、わかっていないことがあるのだと知ったのです。予測がはずれることがあるなら、逆もあるはずだとも思いました。流れ星は少ないと予測された夜に、突然たくさんの流れ星が流れることがあるのではないか、と。流れ星は小学生でも夜空を見上げていれば、多い少ないは肉眼で観測できます。それ以降、晴れれば毎晩のように流れ星を数え、天文学にはまりました。その後、大学で天文学を学びましたが、情熱は冷めるどころか、どんどん深みにはまっていきました。皆さんも好きなこと、熱中できることがあれば、とことんそれを突き詰めてみてください。それができる場所が大学という所だと信じています。