井口 正彦

IGUCHI MASAHIKO
国際関係学部 国際関係学科 准教授
学位
博士(学術)
専門分野
グローバル・ガバナンス論、地球環境政治学

研究テーマ

Global Sustainability Governance(持続可能性をめぐるグローバル・ガバナンス)

高校生に向けた研究内容の紹介

Global Sustainability Governanceと聞いても、なかなかピンと来ないと思います。この分野は比較的新しく、「地球規模でいかに持続可能な社会を構築できるのか」という壮大な目標を持った研究分野です。気候危機をはじめとする地球環境問題をどのように解決へと導くのか、循環型社会をどのように構築するのか、そして「誰一人取り残さない」ためにどのような国際協力(協働)が求められるのか。これらの問題を解決するために、持続可能な社会を構築するための社会変革をいかに促せるのか、ということが研究の根底にある問題意識です。

ゼミナール/研究室のテーマ

持続可能性をめぐるグローバル・ガバナンスの研究

持続可能性(sustainability)

本演習は「長期に渡って、豊かさを享受できる持続可能な社会を構築するには」というテーマで研究を進めます。ここで言う豊かさとは、環境面(人間の生存に必要な環境)、経済面(経済成長)、社会面(誰ひとり取り残さず、皆が公正で公平に暮らせる社会)の3つの側面をバランスよく達成した状態を指します。
このテーマに沿って、「持続可能な開発目標(SDGs)」を分析ツールとして用い、環境に関する課題(地球温暖化問題、生物多様性問題、食料廃棄問題、エネルギー問題など)、経済に関する課題(ソーシャルビジネス・BOPビジネス、グリーンエコノミー/グリーンリカバリー)、社会に関する課題(社会包摂性と経済成長、貧困・飢餓問題、開発教育、環境難民と国際法など)、の3つの側面についての考察を深めます。SDGsというグローバルな行動指針について理解を深めることで養われる問題意識や、多角的思考力は、間違いなく社会に出てからも役に立つはずです。また、ゼミ活動の一環として、研究成果の外部発信にも力を入れています。ゼミ生全員が3年生の終わりまでに研究論文を執筆し、学内の懸賞論文へ応募をするほか、毎年、他大学のゼミと合同研究発表会を開催しています。

Column先輩の学び

利益を得ながら環境保護や国際協力に貢献する「ソーシャル・ビジネス」が研究テーマです。プレゼンテーション後の意見交換では、自分では思いつかなかったアイデアがたくさん出ます。
異なるテーマでもそれぞれを深掘りしていくと他への応用が利く。そんな奥深さに気付けるのもゼミの醍醐味です。

国際関係学部 国際関係学科 3年次
黒崎 聖さん

※掲載内容は取材当時のものです。

ゼミ/卒業研究の紹介

キーワードは「持続可能な社会の構築」です。今後グローバルに活躍する人材として、持続可能な社会の構築にどのように貢献できるのか。ゼミ生それぞれが自分の研究テーマに沿って調査・研究活動をすることはもちろん、国連職員を招いたワークショップや、先進的な取り組みをしている企業訪問などのフィールドワークを経験しながら、このテーマに取り組んでいます。

プロフィール

現在、小学生の娘がいます。娘が大きくなり、子供が産まれ、またその子供が産まれた時に、地球環境はどうなっているのだろうか、とよく考えます。今、「当たり前に」享受している豊かさは、将来世代にとっては当たり前のものではなくなってしまうのではないか、という危機感をもっています。将来世代が充足した豊かな生活を送れるように、今自分にできることを一生懸命にやる、ということが私の研究の原動力になっています。

高校生へのメッセージ

遠い国で起きている戦争や難民・移民問題、貧困問題や環境問題といった「グローバル・イシュー」は全て自分ごとです。国際関係を学ぶ意義は、こういった問題を自分ごとと捉えて、活躍の場をグローバルに求めていく能力を養うことだと考えています。そのためには高度な国際関係の知識を身につけ、ツールとしての英語力を高め、オープン・マインドでさまざまな声に耳を傾け、多角的・批判的に物事を捉える能力を養う必要があります。文系・理系の枠を超えて自分の研究に有用だと思えるものはどんどん積極的に学び、その活躍の場をグローバルに求めていく。私は、そんな姿勢を持つ学生を全力で応援したいです。