鍵本 優

KAGIMOTO YU
現代社会学部 現代社会学科 教授
学位
博士(文学) 京都大学
専門分野
社会学、メディア論、「自分」論

研究テーマ

社会学、メディア論、「自分」論

高校生に向けた研究内容の紹介

近現代の日本社会を中心に、「自分」をめぐる現象について考えています。おもに社会学やメディア論、文学や思想などの文献をもとに、それを理論的に考察しています。
具体的には、文学・音楽・映像・ゲームなどのメディア受容経験や、死や老いや存在をめぐる深い体験の問題などをテーマにしています。

文学やゲームを題材に「豊かな受動性」を養う。-メディア経験の魅力と『自分の問い』を具体的に探る

鍵本ゼミでは「自分」という存在を軸に、人がメディアをいかに経験・体験しているのかを社会学的に探究します。このゼミの特長は、研究対象が非常に幅広いという点です。文学や音楽、映画、アニメや漫画、ゲーム、演劇にお笑い、スポーツやダンス、ファッション、歴史や哲学など、時代やカテゴリを問わずあらゆるものが探究の対象となります。実際に「ボーカロイドでの楽曲制作とその意味」「忍者の"在り方"を考える」など、学生たちは多彩なテーマで研究を行っています。
大切なのは「なぜ自分がそのテーマに惹かれたか」について深く、そして具体的に探究することです。学生はテーマに関わる文献を手掛かりに調査や考察を行い、論文執筆・作品制作に取り組みます。そしてゼミでは各自の成果を発表し、ゼミのメンバーで指摘し合います。他者の意見をもとに、論文・作品を何度もブラッシュアップしていくのです。
このように、自分の興味に沿って研究テーマが決まり、文献や仲間を通して自身の考えが深まっていく、まさに「豊かな受動性」とも呼べる姿勢を鍵本ゼミでは重視しています。なぜなら、受動的なアプローチによって「自分という存在が捉えたがっていたもの」が自然と浮かび上がり、想像もしなかった世界に出合えるからです。
自分の感受性を高めながら独自の「問い」を深く探り、言語化していく中で、自分の限界を超えた世界に触れる体験をしてほしいと願っています。

ゼミナール/研究室のテーマ


メディア経験の魅力と「自分の問い」を具体的に探る

メディア経験は、音楽・映像・ゲーム・マンガ・小説・舞台・ダンス・ファッションなど、さまざまな領域にわたります。演習では、受講生の具体的な興味・関心をもとに、それらの経験の魅力と「自分ならではの問い」を探り当てて言語化していきます。関連文献を読み、調査・考察・制作などをおこない、成果を論文にまとめます。

ゼミ/卒業研究の紹介

「自分」という存在をもとにして、ひとがメディアをどう経験・体験するのかを、自身の感受性を深く探りながら言葉にしていきます。これが私たちのゼミです。 ゼミ生たちは、文学や音楽や映画、アニメやマンガやゲーム、演劇やお笑い、ダンスやファッション、歴史やマスコミや人間関係、飲食やおもちゃなどを対象にしています。文献を読んで調査や考察をして、ゼミのメンバーたちの意見をもらいながら、論理的な文章を書いたりメディア作品を制作したりします。 そうすると、「自分という存在が捉えたがっていたもの」が浮かびあがり、想像もしなかった世界に触れられます。これが本当に面白いんです。

プロフィール

「自分が何かに惹きつけられる」「何かに心が奪われ、自分が一瞬、失われてしまう」といった受動的な現象に深い関心をもって生きてきました。大学に入り、そうした現象が学問の世界で「生成」と呼ばれていることを知りました。 その頃から、とくに特技も特殊な能力もない「自分」がどうやったら何かを深く感じ、どうすれば自分自身や誰かに響くその成果を具体的に出せるのだろうかと、なぜか真剣に考えるようになり、今に至っています。

高校生へのメッセージ

この社会を面白く、深く味わうためには、学問がかなり有効だと思います。学問は自分の「驚ける力」を大きく育ててくれるからです。大学という環境ならではの意義はそこにあると、私は考えています。 そんなものが一体何の役に立つのか、といぶかしく思われた方もいらっしゃるでしょう。ですが、学問にふれることで何かに惹き込まれ、驚いてしまうと、そんな思いはどこかにぶっ飛んでしまうのです。たぶん、それが「自分の限界を超えること」なのではないでしょうか。