廣瀬 勝弘

HIROSE KATSUHIRO
現代社会学部 健康スポーツ社会学科 教授
学位
修士(教育学)
専門分野
体育科教育学・スポーツ教育学

研究テーマ

ボールゲーム学習における内容論研究・ラグビー(タグラグビー)指導論

高校生に向けた研究内容の紹介

運動・スポーツの指導場面において、生徒の実態を踏まえ、指導の内容や手順を工夫しながら、〈わかる・できる〉に向かって取り組むことを明らかにする「体育科教育学・スポーツ教育学」を専門分野としています。具体的には、ボールゲーム学習において、個別種目を学ぶのではなく、各個別種目に含まれる共通する技術・戦術の抽出提示とその解決方法を明らかすることから、学習者が〈ゲームの理解を深めること〉を目指して、研究を進めています。特に、ラグビー(タグラグビー)のような「陣取りゲーム」を対象として、その指導内容と実践的課題を明らかにすることを目的としています。

スポーツ指導者としてのスキルを身に付ける-運動学習を考える

スポーツは状況対応力を育む

「体育教育」「スポーツ教育」には独特で複雑な面があります。
たとえば球技の指導をする場合、シュートやパスなど個人の「動きづくり」と、どのタイミングで何の動きを行うかなど、変化する周囲との「関係づくり」を車の両輪のようにつなぐことを教えなければなりません。
しかし、こうした「動きづくり」「関係づくり」が上達すれば、いわゆる「カンのいい人」、状況対応力の高い人材の育成につながります。それは社会に出て必要となる能力であり、学校教育で体育やスポーツを学ぶ意義はそのようなところにもあるのです。

“上達”のメカニズムを解明する

将来、教員やスポーツ指導者を目指す学生が多い廣瀬ゼミでは、スポーツの「教え方」、「伝え方」を主に研究します。
たとえばサッカーなどボールゲームでは「目線を上げる」ことが非常に重要。「周りを見て視野を広げ、プレーの先取りができるようになる」ことが、上達の最初のステップです。ではそのために何を練習すべきか。まず手元や足元を見ずにボールコントロールができる「動きづくり」の練習、それと並行して状況判断のポイントなど「関係づくり」を学んでいきます。
私は教職課程の授業を担当していますが、教育実習に行く学生には「授業で『がんばれ』と言ってはいけないよ」とアドバイスします。スポーツ上達の本質を理解し、何をどう練習すべきか。具体的で分かりやすい言葉にして伝える指導者になるためにはどうなるべきか。そのためのノウハウや、研究について一緒に取り組んでいけたらと思っています。

ゼミナール/研究室のテーマ


運動学習を考える

本演習では、効果的な運動学習を行うための専門的な力量形成をテーマに活動を行っています。具体的には、体育・スポーツ指導に関連する文献精読を手がかりとして、指導計画の「立案・実践・省察」というサイクルを通して、確かな指導者が備える専門的な力量の形成とその向上に取り組んでいます。

ゼミ/卒業研究の紹介

ゼミナール授業では、〈ゲームの理解を深めること〉に迫るため、「理論(教室)と実践(実技)両輪での学び」を展開しています。ゼミナールに参加する学生の多くは、卒業後、学校教員(保健体育科)になることを目指しています。学校における体育授業を効果的に進めるための〈授業づくり〉の学びに加え、教育現場における〈今日的課題〉について、学生相互に意見交換を行いながら、教員という仕事の意味と価値を考えています。

プロフィール

学生時代からラグビーボールにふれあいながら過ごしています。日常から身体を動かすことには留意をしていますが、加齢及び運動不足による体力低下を感じる日々でもあります…その解決を目指して、地元・大分県別府市は〈温泉天国〉であるので、お湯に浸かり、身体をいやすことを楽しみとしています。

高校生へのメッセージ

「平凡な教師は言って聞かせる。よい教師は説明をする。優秀な教師はやってみせる。しかし、最高の教師は子どもの心に火をつける」という言葉があります。最高の教師とは、実際の指導場面において様々な手法を活用し、学習者に大切な内容を「気づかせる」ことが巧みな者であるといえるでしょう。例えば、運動の指導場面において、技ができるためのコツを気づかせるためには、その前提として、教師自身が、学習者の実態を踏まえ、指導の手順を操作する力量が必要であると考えます。大学の実技・理論の授業において、まずは、皆さん自身が多くの「気づき」を蓄積し、常に「教える側」の視点で考える習慣を持ってください。そのことが、将来的には、「学習者に気づかせ心に火をつけること」の基盤になると考えます。