
研究テーマ
人間がスポーツをすることに関する社会学的研究
高校生に向けた研究内容の紹介
マラソンやトライアスロンのような長時間の苦痛を伴うスポーツをする人々をみると、「なぜ進んで苦しいことをするのだろうか」という疑問が湧いてきます。あるいは厳しい競争の世界で生きようとするアスリートの姿に、「なぜスポーツにすべてを賭ける道を選ぶのだろうか」と思わせられることがあります。こうした人間がスポーツをすることにまつわる「なぜ」について、その背景にある社会との関係をふまえつつ研究しています。
新しいスポーツをつくり出す-社会的なものとしてのスポーツ
スポーツはなぜ楽しい?
人はなぜスポーツをするのか?なぜ楽しいと感じるのか?このような根本的な問いを突き詰めていくために浜田ゼミの学生が取り組むのは、「新たなスポーツをつくり出す」という試みです。たとえば、鬼ごっこのようなスポーツを考えてみたらどうなるか。チーム制にして、奪い合って得点を競うタグを追加してみたり、さらにチームの人数を調整したり、動ける範囲を制限してみたり。ルールの追加・変更によって駆け引きが生じ、普通の鬼ごっことは一味違った攻防を楽しめるゲームが成立します。
スポーツの本質に迫る
実際にゲームを行ったあとは、全員で意見交換をします。何がどう楽しかったか、今回のゲームはなぜ成功したのか。言葉にして具体的に表現することで、ルールの在り方やスポーツの成り立ち、さらには「楽しさ」の理由が見えてきます。
ゼミ卒業生の中には、自分たちでつくったスポーツの「公式ルールブック」をまとめた学生も。世界中にプロチームができたとして、技術が高度になった場合にどんなファウルが想定されるのか。あるいは言葉が通じなくても伝わる審判のジェスチャーとはどんなものか。考えるべきことは限りなく出てきます。
多様な社会の中でスポーツが受け入れられるために、大切なこととは何か。スポーツから得られる喜びや充実感を体験しながら、その本質的な魅力を探っていきます。
ゼミナール/研究室のテーマ
スポーツ社会学
スポーツに関するさまざまな現象について、社会学的な方法や理論を基に考えてみようというゼミです。各自の興味に合わせて、文献を読む、調査を行う、発表や議論をする、レポートを書くなどの活動をしています。また、実際に身体を動かしながらスポーツの本質に迫るべく、「スポーツをつくる」という課題にも取り組みました。
ゼミ/卒業研究の紹介
ゼミでは社会学の立場から、例えば人はなぜスポーツをするのか、スポーツをめぐって起こる様々な出来事の核心には何があるのか、スポーツにはどのような課題や可能性があるのかといったことを考えています。またそのなかで、「スポーツをつくる」という活動に取り組んでいます。この活動には理論や文献による学びからだけでなく、実践や体験の側面からもスポーツの本質に迫ってみようというねらいがあります。
プロフィール
スポーツとは縁遠い高校生活から一転して大学でトライアスロン部に入り、自分なりに競技を楽しんできました。大学4年次になったころ、「なぜ人はトライアスロンのような苦しいことをして、楽しみや喜びを感じるのだろうか」と思うようになりました。そして「自分でやっているにもかかわらずわからないこの疑問に答えを出したいな」と軽い気持ちで大学院への進学を決め、そのまま後戻りできなくなって現在に至っています。
高校生へのメッセージ
大学に入学されたら、「先のことにとらわれない時間」を過ごしてみてください。過ごし方は細かく問いません。一生懸命でものんびりでもいいです。とりあえず「それをして何になるのか」を気にすることなく、ただ「それがしたい」と感じられるような「それ」があれば大丈夫です。先のことを考えた行動ももちろん大切なのですが、こういう無為の時間みたいなものが、皆さんにとってかけがえのない価値をもつような気がします。