
北上 光志
KITAJO MITSUSHI
外国語学部 ヨーロッパ言語学科 教授
- 学位
- 博士(言語学)(ロシア国立プーシキン記念ロシア語大学)
- 専門分野
- ロシア語学、言語学
研究テーマ
テキスト言語学の観点からのロシア語と日本語の小説の分析
高校生に向けた研究内容の紹介
テキスト言語学は文章を文脈の観点から研究する学問です。文脈には話し手の感情が反映されます。感情の表れ方は必ずしも安定していません。伝える意味が同じでも形が違う文には話し手の感情の揺れが見られます(例えば、「私は驚き、立ち上がった」と「私は驚いて、立ち上がった」)。このような曖昧な言語使用の中に存在する規則性を解明するのがテキスト言語学の醍醐味です。混とんとしたことばの闇に一筋の光明を見出す喜びがあります。
ゼミナール/研究室のテーマ
日本語とロシア語の翻訳論と分析方法
ゼミ/卒業研究の紹介
会話や文章の中で「情報的に重要である要素」をどのようにして見つけることができるのかをテーマにしています。日本語とロシア語の小説や映画を資料とし、統計手法を用いて分析します。分析作業中は自分が物語の主人公になったような没入感を味わうことができます。ゼミの総括としてゼミ合宿を行い研究成果を発表します。こういったプロセスを経て学生は他者とのコミュニケーションにおいて重要な情報を効率よく理解し、また、話のポイントを手際よく相手に伝達するスキルを身に付きます。
プロフィール
私がロシア語に興味を持ったのは父の影響です。父は第2次世界大戦末期にソ連軍の捕虜になり、戦後5年間シベリアで抑留生活を送りました。父は私にシベリアでの出来事をよく話してくれました。苦しかった時にロシアの人々に幾度も助けられたそうです。後年、私がモスクワで留学生活を送った時、父が話したロシア人の優しさを追体験しました。留学を通して、食わず嫌い的な先入観で物事を判断せず、何事もやってみて得た経験が大切なことを学びました。
高校生へのメッセージ
直ぐに実現することを夢とは呼びません。夢を叶えるには時間がかかります。そして、夢を追いかけているとき、人は自らの存在意義を強く意識します。言葉は人が存在しないと生まれません。語学に興味を持った人は、時間をかけて相手とコミュニケーションをとり、その人の持つ文化を知ろうという発想を持たなければなりません。そして、それは自らのアイデンティティーを探求することにもなります。